• HOME
  • CONTACT
Posted on 2013/07/24 19:22
  • インタビュー
  • TAGS: /

ピラミッドガーデン担当Candle JUNE・小林直インタビュー

「今年はピラミッドジュンと呼んでください(笑)」

雨の中ですが、キャンプサイトを歩けばその奥でヴィイイイと木を切る音。オープンが1日前にせまったキャンプサイト、その奥地にあるピラミッドガーデン(以下ピラミッド)という秘境と呼ぶべきエリアがあります。今年のフジロック一番の驚きはこのピラミッドのサウナでしょう。スウェットピラミッドと名付けられたサウナやシャワーが楽しめるこの場。日中のみ開かれるこの空間はいきなり決まったといいますが、そのウラには一体何が?そして、音楽の場として最高の居心地とも名高いこの空間は一体どのようにして生まれたのか?ピラミッドガーデンのプロデュースを行うCandle JUNEさん、ディレクション担当の小林直さんに会場でインタビューを行いました!

――6月から本格的に設営をはじめ、昨日も一時的に東京に戻って今朝4時から作業をされていた、とのことですが、完成はやはり直前ですか?

Candle JUNE(以下CJ):完成は…2年後くらい?

――2年後(笑)それって…!

CJ:ピラミッドのベースが完成するのは、たぶん2年後くらいかな。その頃には「まだまだでしょ」って言ってると思うけど(笑)。始まって4年目だけど、まだまだ。

――ではその始まりからお伺いしたいと思います。

未完成、試行錯誤、その中にある至高の心地よさの秘密

小林:エリア自体は当時、日高さんから「新しいエリアを作りたい。場所は奥じゃない」という話があったんです。キャンプサイトを拡張し、傾斜ではなくキャンパーに快適なエリアが確保できたからって。

――ジュンさんがプロデュースというか、コンセプトを注入するという立ち位置になるんでしょうか。

CJ:そうですね。自分はずっとフィールド・オブ・ヘブンでキャンドルをやっていたりしたんですが、ヘブンより奥にエリアがどんどん増えてきて、ヘブンが動線の役割をもつ、というか性質が変わってきたなと感じたんです。安全面などはもちろん、キャンドルを灯すことが邪魔になったら嫌だなあと。それで辞めようと思って日高さんに話をしたら逆に「なあ、ピラミッド作らないか?」って(笑)

――でた…ムチャぶり!

CJ:最初聞いた時はドームとかサークルとか、丸く拡がる火のイメージや灯し方とは違うと思っていたから興味がなかったんです。でも興味がなかったところの土台から入ったもんだから楽しくなっちゃった(笑)。しかも「ピラミッドつくったら好きにしていいよ」って普通のフェスとは違うオーダーのされ方で…

小林:創作意欲が燃える感じ(笑)

CJ:ね。それ聞いて、フジロックって…素敵だなあって改めて思った。「好きだ!」って言いたい感じっていうのかな。フジロックにかかわる人たちって本気の遊びっていうか、どっか欠如してる(笑)でも一本「ここは!」っていうところを大切にして、それをしかもトップから出てくるイズムっていうのは感じられたから、試されてると思って「やります!」って。

小林:4年やってるけど安定していないっていうか、でも毎回「やりきった」っていう気分になれる。こんなフィールド多分ないんじゃないかって思うんですよ、初年度なんか「この時間のライブは客来ないとアーティストにかわいそうだからやめさせろ」って日高さんから直前にきたし(笑)

CJ:あと自分もブッキングとか自分でもやっているんですが、友達に声かけて「朝までハナレグミ」とか、予期していないライブをお願いしちゃっていたりした。

小林:ピラミッドはきちんとしたチームや、セキュリティがいるわけでもない。専任クルーはもちろんいますが、兼任というか…ピラミッドは全員試合、みんなで作っていますね。運営自体がライブみたいなところがありますね。焚き火苗場観光協会の人たちから廃材を手配したり、やっぱりちゃんとした木をって手配しなおしたり。

スウェットガーデン誕生秘話も…やっぱり!

小林:日高さんとは春前ぐらいにキックオフミーティングをひらくんです。そこで今年はまず「ピラミッドを常設したい」という話がトピックとしてあったんですね。もともと今年カフェとして使っているところは冬の営業で使うユニットハウスですが、そこを毎回撤去してピラミッドを建てていたんです。あんだけすばらしいピラミッドを冬のためにバラすのはどうにかできないかと。それで常設にして、基礎からしっかりつくったんです。

CJ:例年ピラミッドづくりに集中しすぎて、ほかのオーガナイズに手が回らなかった。だからピラミッドがずっとあることでこだわりが持てるようになるんですね。

――そして…サウナのお話に至った?

小林:ブレストするじゃないですか。で色々アイディアが出て確認とかしてOKなら「いけよ」ってなるのがいつもの流れ。で、そのサウナの話をしたときに日高さんがめちゃくちゃ食いついてきたんですよ(笑)

CJ:「ゆくゆくは」っていう前提だったんですけどね。ピラミッドを常設にできれば、冬の利用のアイデアとしてサウナっていうのがあれば楽しんでもらえるよねっていう話だったはずなのに…今年からかー!って(笑)

小林:6月末ですよ。別の関係者と話をしていたら「今年ピラミッド、サウナやるんでしょ?」って言われて「いや、ジュンさんやんねーって言ってたしな…」「あれ?特番でてたよ?」って。テレビでフジロックの特番があってそこで日高さんが話をしたらしいんですよね。ウラを取らなきゃって映像を見たら「たしかに言ってるー!!」(笑)

――(笑)

小林:それででっかいピラミッドつくってるジュンさんに電話して「確認なんですけどサウナなしですよね?」「うん、そのつもりだけど?」「そうか…残念なお知らせなんですけどつくるって言っちゃってます…」

CJ:「…わかりましたー。なんとかしまーす」(笑)もともと建てた土台に一個でかいピラミッドをつくっていたけれど、黒いピラミッドをサウナ用にもう一個作ることになったわけです。

小林:…奥に温泉、そしてサウナがある、っていうのが日高さんに刺さったんじゃないですかね。

――日高さんの理想追求はすごいですね…!

CJ:ですね。日高さんに普通のことを言うと怒られるんじゃないかっていう気がするんです。こじんまりしちゃうとダメっていうか。だから自分もピラミッドをやりたくなったんですけど。「こういうのあればいいんでしょ」っていうところがありますよね。「お客様に楽しんでいただきたい」っていうんじゃなくって、どんなものを毎年提案できるんだっていうのを試されてる気がするから、そこを大事にした上で、つくっていくんだろうな。昔のヘブンの感覚ですよね。

音楽と居心地の空間、ピラミッドガーデン

小林:ファイアーピットで三日三晩火の番をしてくれる人がお客さんにいるんです。会場こんだけあってフジロックなのに、repliche orologi 見たいものは観てるっていうんですが、僕が見る限りずっといるんですよね(笑)それは面白いなー、こんなお客さんもいるんだって思いますよね。

CJ:ほかのステージは何時まで、っていう感じだけど、ここはキャンプサイトの中だし、24時間あるっていうのがいい。

小林:4年目だけど、安定してないですね。いい意味でも悪い意味でも(笑)

CJ:いやー、今年は一番大変ですよね。キャンドルもまだ全然考えられていない。今年は「キャンドルジュン」じゃなくて「ピラミッドジュン」でいこうかと思う(笑)初日の夜には出ますが。

小林:照明は最小限で、ジュンさんのあかりでやってもらうっていう感じのライブをもちろんやろうと思っています。

――素敵な空間、ですよね…朝はいかがでしょう?毎日10時からサンディーさんがフラをやられていますね。

CJ:もう…朝、しあわせな感じの空間になっていますよー。

小林:ジュンさんがやる、フラをやるっていう大枠を聞いていたんですが、年々続いている感じですね。ものすごくいい。

小林:あとは今年の3日目の最後に出るSUNIL & BABUも、見るというか体感する、それがジュンさんの空間というものもあいまってすごく気持ちよくなれると思うんです。五感が合わさった形で音楽を楽しめる。ピラミッドはバンドが来て、キャンドルのセッティングをしてからライブスタートなんです。だから一帯がライブですよね。

――では最後の質問です。今の、フェスがカルチャーとして根付いた現状についてどうお感じになりますでしょうか。ジュンさんはさまざまなフェスに携わっているのをお見かけしますが。

CJ:パッとやってパッと終わり、っていう感じにはしたくないとは思っています。あまり知られていないんですが、キャンドルって自分の仕事の1割とかでしかないんです。残り9割は会場全体の演出などをしている。刹那的なものもいいんですが、こなしていく感じというのは嫌なので、今回はどんな面白くしてやろうかとか、来年はじゃあどこまでいけるみたいなものに続けていきたいですね。ピラミッドもできたことでこれから、ここはこれからそうしていきたい。repliche rolex

小林:僕もフェスという場が一過性で、簡単に壊れるのは嫌で、継続していけたらって思いながら他のイベントにも参加しています。そういう部分はフジロックが教えてくれたのかなって思うんですよね。流行かもしれない中で、持続していく形を求めていければと思います。

CJ:一番フェスがいいと思うのは、被災地に行った時に思うかな。フェスやり倒している仲間たちがいると、被災地の、街をつくるっていうことができる仲間がいる。

小林:たしかに、僕らはLOVE FOR NIPPONっていう活動をしているんですが、何かしたいけどどうしていいのかわからなくてウズウズしていたときに「ジュンさんだ!」って声をかけられた。

CJ:単なるボランティア活動ではない。それぞれの餅屋が餅屋として活かせられるのはすごくいいことだと思う。電気がなかったらどうするとか、そういうことが可能になる。フェスティバルっていう概念よりかはレイブパーティーとか、そういったものから築いた対応能力がいいなと思いますね。

SAME CATEGORY MORE

PAGE TOP