7月27日、奇跡の夜、レイハラカミの命日、ピラミッドガーデン
勝井祐二。Rovoや渋さ知らズなど、数々の名義でフジロックに出演し、おそらくフジロックに最も多く出演しているアーティストの彼にインタビューを行いました。
今年も当然出演していましたが(しかも複数)、その中で特筆すべきだったのは初日夜中、明けて土曜日午前1時に行われたピラミッドガーデンでのステージです。彼の音楽活動において共演の機会が多々あった盟友、レイハラカミ。彼の命日に、彼と親交のあったメンバーと行われた演奏は、フジロック’13の中で最も神秘的で、最も身近なぬくもりに満ちたステージに思います。前編ではそのピラミッドステージの出演経緯や、その夜のことを語ります。
「(外を見ながら)金曜日は少なかったけどね…でも去年に比べたら今日も少ないのかな」
―あーそうでしょうね。その分過ごしやすくていいんですが。
「金曜の昼についたんだけど、その頃だと道中もまわりが全てフジロッカーみたいな感じなんだけど、今年はそういうのがそんなにいないように感じた」
―ビョークを見に来る方が多いっていうのもあるんでしょうね。去年の金曜日くらいはいるんじゃないでしょうか。
「やっぱりメンツなのかな―、去年は土曜日曜とすごかったからなー。死ぬかと思った(笑)。去年は土曜日にROVO、日曜日は会場で友達のキャラバンにばったり会って、『ピラミッドガーデンでやるから出ません?』っていう流れで出たんですよ」
―完全にその場じゃないですか(笑)
「そう。去年愛知県のロックオンザロックっていうフェスでも同じ感じだったんだよね。居酒屋にユザーンといたら、たまたまキャラバンがいて『一緒にやってくれませんか』って。それで出たんだよ。だからピラミッドも同じノリ」
―柔軟ですね…!そしてピラミッドには今年も金曜日25時のご出演でしたね。
「そうなんだよ。ピラミッドに去年出た時『ここ凄くいいところだなー』って感動してピラミッドの敷地内を歩いていたら、日高さんが寝っ転がっていたんだよ(笑)」
―神出鬼没!(笑)それでどうしたんです?
「『日高さんここ最高ですね!』『おう、いいだろ』ってやり取りをしながら(笑)『来年ここで俺やりたいんですけど』『いいよー、約束だぞ―』、それで決定ですよ。で、すごいのはちゃんとそれが話として通ってた。今年になって別のスタッフの人から『ピラミッドガーデンの件、ちゃんと空けといてね』って言われて、通ってたんだ…!って(笑)」
―なんて出演交渉だ。ステージにはSoRA、ユザーン、青葉市子というメンバーが上がりましたが、それはあとから?
「そう。最初はエレクトリックバイオリンのソロをアンビエントの要素を入れてやろうと思っていたんだけど、初日のトリで、というオファーなのでゲストのメンバーを呼んだりして『今日ここに来て良かったな』と思えるようなお得感のあるものにしませんかって、ステージをプロデュースをしているキャンドルジュン君から提案を受けて、最終的にそういうメンバーになりましたね」
―すごくスペシャルだなと思ったのが、日にちです。皆さんが出演された時は7月27日、レイハラカミの命日に当たる日でした。ラストは勝井さん・ユザーン・青葉市子の3人で彼の携わった”川越ランデブー”をプレイした時間は、すごく印象深いものでした。
「実はこれ、出演決定の後で気付いたんだよ。声をかけたメンバーも決めた後。青葉市子ちゃんとは今年になってからよく一緒にライブをしているんだけどそのきっかけが彼女の”奇跡はいつでも”っていう曲がすごい好きで、それを一緒にやりましょう。っていう連絡をしたんですね。その曲の成り立ちは全然知らなかったんだけど、ある時のステージのMCで彼女が『この曲は、ハラカミさんのことを想ってつくった曲なんです』って。そこで初めて『この曲はそういうことだったんだ…!』って気付いたんです。でもまだその時もこの日程については気づいていなかった。」
―不思議な縁ですね。
「その曲をピラミッドでやろうって決めて、その後も色々日程とか詳細がどんどん決まっていった。で、ある日ユザーンが『勝井さん、僕らの出演って27日になりますよね、その日、彼の命日です』って。ステージには市子ちゃんも、ユザーンもいるし、奇跡はいつでもっていう曲もやろうと決めていたし。本当になんか導かれているようなものを感じた。そこでユザーンから『彼と作った川越ランデブーをやりたい』って言ってきた。市子ちゃんと相談して、3人でああいうアレンジを考え、練習して演奏したんです」
―ピラミッドの圧倒的な雰囲気もあったし、偶然以上の何かを感じざるを得ませんね。
「うん、実際にそれはあったんだと思う。ピラミッドのスタッフからも”奇跡はいつでも””川越ランデブー”の時、雲が晴れてステージの上で月が見えたんですよって教えてもらって。それまでは雨だ雷だっていうのにね」
―NINの時の嵐が嘘のような、すごく穏やかな雰囲気の、綺麗な景色でした。
「色々なことが全部噛み合わないと起きないものってあるけれど、それが昨日だったんだと思う。命日の演奏だってわかってからは本当にちゃんとやろうと思ったし、このメンバーであらかじめこの日がそうだって気づいてくれる人もいただろうし、そういうところに共有できる空間になればいいなって思っていたから、本当によかった」
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