スチャダラパー
楽しさしかない、それはきっと夏のせい
夕方18:00過ぎに人であふれ返るレッドマーキー。登場が待たれているのはジャパニーズ・ヒップホップ界のベテラン、スチャダラパーだ。今年キャリア28年になる彼らだが、コンスタントに新曲を出してアクティブに活動している印象がある。キャリアが長いと、「どの曲をやるかな?あれはやるかな?」といろいろ考えるのも楽しいけれど、なかには「もしかしたらゲストに…!? 」なんて、ある期待感を持ってステージを待つ人たちもいたようだ。
オンタイムにDJ SHINCOがDJブースに現れ、会場から「SINCO!」と名前を呼ぶ声が上がった。続いてANI 、BOSEが登場し、すぐにコール&レスポンスで観客の調子を確かめる。もちろんノリはすでに抜群で、レッドマーキーの後ろの方からも大きい声が上がった。サポートMCのロボ宙もステージに入り、歓声のなか”アーバン文法”でライヴがスタートした。観客もサビに参加させる”MORE FUN-KEY WORD””ライツカメラアクション”から初期の人気曲”Get Up And Dance”まで続けてパフォーマンスし、レッドマーキーを横に揺らす。大歓声と大合唱に混じって「超懐かしい!」という感想の声も聞こえてきた。そこで「フジロック久しぶりなんです」とMC。直前にグリーンステージでプレイしていたRadwimpsが終わるまで、レッドマーキーに人が少なかったので心配だったと話して、観客を笑わせる。スチャダラはラップを聴くのも楽しいけど、トークも面白くてニヤニヤしてしまう。それから代表曲を現代的にアレンジした”サマージャム2020″から、「夏のせいって言いたいんでしょ?」とオリジナルの”サマージャム’95″へとつないで、さらに観客を沸かせた。
楽しい瞬間だらけのステージで、特に盛り上がったのはリクエストコーナーだ。好きなアーティストにライヴでやる曲をリクエストできるなんて最高じゃないか!観客思い思いのリクエストの中からピックアップされた”ノーベルやんちゃDE賞””ついてる男’94春 “””コロコロなるまま”の3曲がそれぞれ短めにパフォーマンスされた後は、新曲も知ってる?と”レッツロックオン”へ。オールドスクールなファンクネスがかっこいいなとシビれたところで、続けて今年EGO-WRAPPIN’とのコラボでリリースした”ミクロボーイとマクロガール”をプレイ。これは新たな夏のクラシックになる予感大かも。ユーモアたっぷりなリリックと美メロな新曲で盛り上げた後は、いきなり大定番の”今夜はブギー・バッグ”をドロップ!「小沢健二は来ません!(笑)」と言われてもやっぱり盛り上がっちゃう名曲なので、大合唱のなかレッドマーキー中の頭上で手が左右に揺れた。
“今夜はブギー・バッグ”終わりにBoseが「オザケンいなくても盛り上がって良かった〜!」と言ったのには笑ったけど、きっと観客はみんな(当たり前じゃん)って思っていたはず。このユーモアとノリとゆるさとラップスキルで見る人を楽しませてくれるのがスチャダラパーなんだから。キャリア28年というだけあってANIは先日50歳になったそうだけど、これからも変わらず楽しいパフォーマンスを見せてほしい。