原始神母
外でピンク・フロイドを
フジロックで原始神母を観るという夢がかなった。やはり野外、しかも山の中でピンク・フロイドの音を聴きたい。あの音を解放された空間で聴きたい。自然と音楽が溶け合い、心を宇宙に漂わせたい。フジロックのフィールド・オブ・ヘヴンは舞台が整っている。
さすがにおじさんたちが多い。曇り空の下、ギターの木暮 “shake”武彦、ベースの扇田裕太郎、ドラムの柏原克己、キーボードの三国義貴と大久保治信、そしてヴォーカルのケネス・アンドリューが登場し、三国がキーボードを叩き、「ピン！」という音でピンク・フロイドのマニアは「Echoes/エコーズ」が始まったことを知る。歓声が上がる。演奏は野外向きなのかハードに攻めてくる。続いて扇田のベースが鳴り響いて「One Of These Days/吹けよ風、呼べよ嵐」。コーラスの冨田麗香がパーカッションで参加する。不穏な重低音からクライマックスへ向けてシャケのスライドギターがうなりを上げ、バンドが一体となった盛り上がりがすごい。
時計の音のSEが流れて「Time/タイム」。コーラスでラブリー・レイナも加わり、壮大な音空間を作る。原始神母はピンク・フロイドが作った音楽をつかんで空間に離しているかのように、ガッとつかまれた音が勢いよくパッと空間に投げられる。野外ということも相まって勢い重視なところがあるのだ。
そのまま続けて「The Great Gig in the Sky/虚空のスキャット」。ピアノの音色に導かれ、冨田麗香とラブリー・レイナの声量豊かなスキャットがヘヴンを支配するとお客さんたちから歓声が上がる。やはり生で聴いてこそである。アコースティックギターを手にしたシャケと扇田によって「Wish You Were Here/あなたがここにいてほしい」ナチュラルに環境に溶け込んだ音で木々に囲まれ聴くのによい。歌詞は疎外感をテーマにしているのだけど。最後は「Atom Heart Mother/原子心母」。メンバー全員が持てる力を駆使してクライマックスに向けての構築ぶり。ピンク・フロイドが音の建築を目指していたころの曲であり、苗場でも見事にそれを再現していた。今度は朝霧JAMでお願いします（持ち時間も長くお願いします）。
