J-SQUAD
極上なジャズを楽しむ豊かなひととき
3日目も雨スタートとなってしまったフジロック2017。小雨がぱらつくフィールド・オブ・ヘブンは、まだ午前11:30ということもあり、人はそんなに多くない。後方には色とりどりのレインウェアに身を包んだ観客が椅子に座っていて、ステージが始まるのを待っていた。ヘブンでこれから演奏をするのは、ニューヨークのジャズシーン最前線で活躍する日本人アーティスト5人で結成されたジャズバンドJ-Squadだ。結成のきっかけはテレビ朝日系『報道ステーション』のOP曲を手がけるためだそうだが、個々の経歴は20、30代の若さながら錚々たる輝かしさで、J-Squadのことをよく知らなくても興味がわいてしまう。そんな5人は11:40になると静かにステージに登場して、歓声のなか楽器をスッと構えた。
痺れるかっこよさだ。流れるようにスムースなトランペット、お腹に響くウッドベースのうねり、間の取り方が素晴らしいドラム、美しくてエレガントなキーボード、緩急が絶妙なテナーサックス。こんな極上なジャズの演奏を、苗場の大自然に抱かれて聴けるなんて贅沢すぎる。2曲が終わるとトランペットの黒田卓也がメンバーを紹介した。それぞれを素晴らしい経歴とともに紹介したのだが、ウッドベースの中村恭士がプリンスホテルの館内スリッパでステージに上がっているというくだりには笑いが起こっていた。続いて3曲目には「楽しみにしてくれていたかは分からないけど、ニュース思い出しながら聞いてください(笑)」と前説してから、例の『報道ステーション』のOP曲”Starting Fire”を演奏。馴染みのメロディーに歓声が上がり、前方の観客たちはゆらゆらと踊りながら聞き入っていた。
「本当は真夜中に聴きたい曲」として演奏した”Mood For Mode”は、艶やかな響きでヘブンに響き渡った。それは本当に美しくて、個人的なハイライトだ。ラストに演奏した中村恭士作曲の”Aweseome Beef”は、NYにあるメンバー行きつけの中華屋さんの名前だという裏エピソードも。トークでは観客を笑わせてくれる上に、演奏は超絶かっこいいなんてずるい。忙しくてなかなか集まれないという5人が揃ったヘブンのステージのおかげで、とても豊かなひとときを堪能できた。現在日本ツアー中で、明日以降は富山と大阪を回るので、気になる方はチェックして。