Flogging Mollyのライヴ帰り、苗場食堂から聞こえてくる音に導かれそのままライヴを覗いてみたら、予想以上にかっこいいので、そのまま全部見てしまった。演奏していたのはOne Shotという4人組のバンドで、初日のオレンジコートに小宇宙を映し出したMAGMAのメンバーを中心としたバンドだそうだ。
音楽的にも本家・MAGMAの影響でプログレシッヴ・ロックの血をすすっているが、反復の多用やガラっと予想不可能な展開へと向かっていく辺りからは、最近のミニマル・ミュージックやマスロックと親和性があるようにも思える。それを可能にしてしまう職人と呼ぶべき卓越したテクニックには目が釘付けにさせられた人も多いだろう。高音から低音まで自由自在に、またジャンルを幅広く横断する堅牢な構築力にもまた惹かれるものがある。軽くのつもりで見ていたら、まさか最後まで見てしまうとは思いもよらなかった。それもこれも彼等の音楽に予想以上に惹きつけられたからだが。その引力の大きさはMAGMA譲りということのなのかもしれない。ギター、ベース、ドラムが火花を散らすように音符を乱れ打つ様子には驚かされたし、そこにジャズっぽいニュアンスの電子オルガンが絡み、独特のニュアンスを持ったプログレへと昇華。確実に新たな視界をこじ開ける、そんな力を秘めた世界がOne Shotの音楽からは創造されるのだ。
音に誘われるままに覗いてみたライヴで、まさかここまで興奮できるとは思っていなかった。こういった楽しみを感じられるのも、そこら中で音楽を楽しめる環境があるフジロックならではだろう。ちなみに彼等は8月1日~3日まで東京でライヴを行う予定。気になった方々はぜひとも足を運んでみて、この独特のニュアンスを持った音世界を堪能してほしいものだ。
写真:近澤幸司
文:伊藤卓也