ストーリーのように流れる、軽やかな演奏と艶のある歌とダンス
今パッと記憶を遡っただけでも、05年、06年、08年、09年、11年と出演回数を重ね、いわゆるフジ常連と呼べる域にいる、ビッグ・ウィリーズ・バーレスク。今年はなにやら、ザ・ニュー・リセッショネアーズというバンドを率いた、ビッグ・ウィリーズ・バーレスク・プレゼンツ・ザ・ニュー・リセッショネアーズという名義で出演とのこと(カフェドパリにて3日間連続、そして、クリスタルパレステントにも登場予定)。一度聴いただけではそうそう覚えられなさそうなくらい名が長いというのもあり、知らなくともタイムテーブルを見て目についた人も多いのではないだろうか。そんな彼らが前夜祭の2番手に出演すると聞き、早速レッドマーキーへ向かった。
西海岸の空気のあるミュージシャン、そしてダンサーが妖艶なライヴ…そんな印象を持っていたビッグ・ウィリーズ・バーレスクとしてのステージ。バンドを率いることでどう変化するのだろう?と思っていると、「みなさん元気〜?」との一声より、ドラムのビッグ・ウィリー、サックスのビル・アンガーマン、ギターのジェームズ・エーカー、ベースのビッコー・レピスト、そしてピアノであるマイク・ボイトという演奏陣5人がまずは姿を見せた。まずは軽やかな、はねたリズムが体に馴染む楽曲で、観客のノリをひょいっと誘っていく。
と思いきや、サテン・ドールズのメンバーでもある、ヴォーカルのマッキーナ・リッジウェイがセンターのマイク前に立ち、軽くステップを踏みながら歌を披露すると、またなんとも言えない艶のある雰囲気に。ハートフルであり、どこかブルージーというか昭和レトロっぽくもあり、時にはあま〜い艶声を聴かせていく。後ろにある映像がモノクロで彼らを映し出すと、もうなんだかひとつの味のある映画を観ているような気分にさえなってしまうのだ。声の最後の余韻まで美しく、体がリズムを感じながらも、ついつい見とれてしまっていた。
そして、6曲目ぐらいで一気にムーディーな楽曲に。すると、フジロックにビッグ・ウィリーとともに出演していた、ダンサーのカロリーナ・セリソラがステップを踏みながら、しなやかに体を揺さぶり、ステージをくねくね歩き回っていく。おなじみになっているとは思うけれど、これでもかというぐらいじらしながら、どんどん着ていたキャミソールなどを脱いでいく彼女。こぞってメンズの観客達がじりじりと前に詰め寄り、つま先を立ててまで必死で観ようとしているのが目に入るのだけど、その気持ちがわかるくらい、色気があり「うっ」と息を呑んでしまいそうになってしまう。
ラストの曲では踊り子ではなく、再度ヴォーカルが登場するのだが、けっしてせわしく変化していくという感じではなく、あくまでひとつのストーリーの上で行なわれているようなライヴであった。