やっぱりそうでなきゃー!と叫びたくなるシャーベッツのフジロック前夜祭出演のお知らせ。本開催の三日間を含めても、実は前夜祭が一番アガってるんじゃないのとツッコみたくなるお客さんの狂騒が渦巻くレッドマーキー。そのステージに夜九時を少し過ぎたころ、彼らが現れた。
一曲目に演奏され始めたのは”High School”!ひときわ高まっている前夜祭の熱を、お客さんの熱をいきなりあおるあおる。続く”アンドロイドルーシー”ではもはやクラウドサーフが起き始める。
そして、この日の演奏で一番インパクトを放っていたのが次に演奏された”38 Special(サーティーエイトスペシャル)”だ。ファンの間で「封印」とまで呼ばれるほどライヴで聴くことが稀であったこの曲は、今年の夏フェスシーズンに突入して突如「解禁」された。今、しかもなぜ始まったばかりのフジロックでこの曲が鳴らされるのか。曲の中でボーカル&ギターの浅井健一、ベンジーはこう歌うのだ。「原発とかさ、政治経済とかさ、学校とかさ、警察とかさ、みんな腐ってない?」と。そして「お前のピストルはどうなんだい?」と。ふわふわの髪を揺らすベンジーの表情はうまく読み取れないけれど、かきむしるような彼のギターは言葉よりも雄弁にフロアに語りかけてくれているような気がするのだ。
圧巻のステージ後半は”カミソリソング”、”ジョーンジェットの犬”の連発で幕を閉じた。毎年フジロックには欠かせない彼らのアクトだけれど、今年の前夜祭のステージで見せてくれた25分間は、短いけれどこれから始まるフジロックの三日間に、そしてなによりも会場のお客さんにとって、ひときわ強く響く演奏となっていたに違いない。
写真:加藤智恵子/文:小田葉子