すぐさまホッとリラックスできる空間に変えてしまう楽曲
オーガニックかつ穏やかなメロディで、ゆったりした心地よい雰囲気を生み出す…。そんなキャラバンのイメージからして、フィールドオブヘブンやジプシーアバロンあたりで、すでにフジロックに登場していそうな気がするのだが、意外にも今回が初参加とのことで、もちろん、安心感はありつつも、心持ちワクワクという気持ちも持っていたこの日のライヴ。
「天気もいいし、忘れられない夏にしましょう、みんなで」と、そんな一声からバンド編成でのライヴがスタートした。“Wagon”が始まれば、すぐさまホッと肩をなでおろせるような、リラックスできる空間へとシフトしていく。なんだろう…感覚的な話になってくるのだけど、もうそれこそ、彼の全身から人を安心させるような空気が放たれているような気さえしてしまうほど、この空間が気持ちいいのだ。しかも、雨が降らないものすごく暑い日だったにも関わらず、“Think”、“Trippin’ Life”と続けば、それに合わせてか、ほのかに冷たい風が吹くなんてことも。もうこれも彼の持つ力なのでは?とも思わせられてしまう。
MCでは、「うわー嬉しい。ここは特別な場所だから。去年もさ、そこらへんでゴマちゃん(GOMA&THE JUNGLE RHYTHM SECTION)みて泣いちゃったりしてさ」という言葉が。たったその一言だけでも、いかに彼にとってフィールドオブヘブンが大切な場所になっているかがわかるだろう。だからなのか、これまで以上に、彼の曲にある希望が目に見えるものとして存在するような感触があった。それと、“Imagination”で再認識したのだけど、「愛すべきものは何だっけ」とか「話したいことは何だっけ」など、普段は中々照れくさくて聞くことができないことを、カッコつけたり、遠回しに言ったりしないのが彼らしくていいのだ。ストレートにできる。これも彼が持つ独特な雰囲気の一部だろう。
また、今回のライヴのMCで、「去年地震があって、俺も訳わからなくなることがあって。金曜にデモに行ったりとか、前だったら考えられないけど、でも、今の方が生きている気がするっていうか。それは感謝しなきゃなと思います」と放った言葉が特に印象的だった。そんなことを詞に乗せた“Soul music”は、今だからこそ強く染みてくる。最後には、「3日間ゆっくりしていこうと思います」と語り、名残惜しむように何度もおじぎをして締めくくった。