普遍的なエレクトロポップを支えるのは堅実な演奏
ロサンゼルス発の新人バンド、エレクトリック・ゲスト。音はエレクトロでポップ、そしてちょっぴりレトロ。そう文字だけ並べると、この手のバンドは溢れすぎている気がする、ここ最近の音楽業界。そして競争が激しい分、消えていくのも早いのも悲しい事実。そんな中、デンジャー・マウスがプロデュースした彼らのデビュー・アルバムは非常に完成度が高いものだった。では、ライブはどうだろう?ライブもまた良ければいいなと、そんな想いを抱きながらレッドマーキーへ足を運んだ。
日が傾き始めてやや涼しくなってきたレッド・マーキーには、非常に多くの人が詰めかけていた。アルバムを1枚しかリリースしていないにも関わらずこの集客。やはり、それだけ多くの人が注目しているバンドなのだろう。
短い自己紹介から間髪入れずに演奏が始まった。意外と堅実なライブをするというのが、全体を通しての印象だ。普遍的なポップスを、力技でごまかすことなく、しっかりとした演奏で支えている。MCも、「ガンキデスカ?」に聞こえた「ゲンキデスカ?」くらいで、最低限。くねくねとダサ気持ち悪い(注:褒め言葉です)動きを見せるボーカルも、ハイトーン・ボイスを駆使した表現力豊かなボーカルで、楽曲を華やかなものに仕上げていた。
アルバムの「This Head I Hold」でライブの盛り上がりは最高潮に。この堅実な演奏で、競争の激しいエレクトロ・ポップ界隈を生き抜いていく気がしたライブだった。
文:本堂清佳 写真:平川けいこ