お帰り、9年ぶりのレッドマーキー!
「どうもー、フラワーカンパニーズです!久しぶりー!」
気負う様子もなくステージに登場したフラワーカンパニーズ。久しぶりの言葉どおりレッドマーキーに帰ってきたのは9年ぶりのことだ。「お帰り!」といわんばかりに、1曲目の”恋をしましょう”から一気にステージも観客側も全開モードに入る。誰に煽られるでもなく、一斉に腕が振られる光景は圧巻だ。しかも、初っ端から。
下北沢のライブハウスでもフジロックという大きなフェスでも、彼らのやっていることは変わらない。いつでもどこででも全力で自分たちの歌をうたい、演奏し、観客の気持ちをグイグイ引き込んでいく。やることは変わっていないのに、フラカンのライヴはレッドマーキーの大きさとたくさんの観客にしっかりフィットしている。普段からこのサイズのパワーを彼らは放出しているということだ。
「9年前から解散することもなく、メンバーチェンジもなく、活動休止もなく、ヒット曲もなく(場内爆笑)!どーですこの現状維持!」
MCでヴォーカルの鈴木圭介がそう胸をはっていたけれど、こういうバンドが9年前とまったく変わらない姿でフジロックに戻ってきてくれるのは、本当にうれしいし貴重なことだ。パッと花火のように消えていってしまう人たちが多い中、地道に泥くさく活動を続けるベテラン。また9年後…といわず、毎年でもここでみたいバンドだ。
中盤のポイントとなったのは、この曲だけ収録のカヴァーコンピレーション・アルバムが発売されているほどの名曲、”深夜高速”だ。顔を真っ赤にして、魂を全身から吐き出すようにうたう鈴木圭介、それに続くレッドマーキー中の声、声、声。いつどこで聴いてもなにかしら胸にグッとくるものがある曲だけれど、この人数での「生きていてよかった。そんな夜をさがしてる」の大合唱は、初日から忘れられない感動となった。
後半に入っても力を抜く場面はゼロ。”ラララで続け!”では絶叫のコール&レスポンスから「な、え、ば、さ、い、こ、う!」の掛け合いへ。ラストは真夏の苗場で”真冬の盆踊り”。「ヨッサホイヨッサホイヨッサホイノホイ!」。レッドマーキーでこのかけ声にあわせて、手をひらひらさせて踊ったらどれだけ楽しいだろう。想像していたとおりの、いや、それを超える数の手の平が舞い、笑顔の輪が広がっていた。持ち時間をきっちり使って、存分にうたい踊ったフラワーカンパニーズ。普段どおり、でも全力全開。期待を裏切らない、笑えて泣けるライヴだった。
フラワーカンパニーズ
写真:平川けいこ・文:輪千希美