血で繋がったトライアングル
テハーノ(メキシコ系)のガルサ3兄弟によって結成されたLOS LONELY BOYSは、アメリカの王道ロックの要素があり、そこにメキシコの色香をふりかけたような、いわばLos Lobosの流れを真摯に受けつぐバンドなのではないだろうか。狙いか偶然か、名前の響きもずいぶんと似ている。
けたたましいドラムと6弦ベースからなるリズム隊が、驚くほどに硬くて厚い。ギターのヘンリー・ガルサのストラトは泣きのブルーズからファンク、カントリーにいたるまでを巧みに織り交ぜていく。一気にほとばしるジャムセッションへとバンドを突入させたりと、遊びにたけていた。
こちらの予想を裏切る展開は、ステージ上に3人のみしかいない、ということを忘れさせるほどだ。終盤にはThe Spencer Davis Groupの”I’m A Man”をカバーし、玄人をうならせていく。その音は、「塊」という表現がふさわしいほどに重いのだが、彼らはいともたやすくやってのけている。
オーラスでは、ギター、ベースともに左手一本で緩く握り、直立させたまま上下にずらして音を出していく。聴きなれない、「ギュルッ」という響きはしっかりとメロディをなぞり、沸きおこる歓声の奥でドラムはうなりをあげている。鉄壁のトライアングルは、力強さでもって奥地の闇を焦がしたのだった。
写真:直田亨 文:西野太生輝