夜ふかしは、三文の徳?
開演時間を少し過ぎ、THE FIELDことアクセル・ウィナーとサポートメンバーの2人が登場し、お客さんの歓声があがる。深夜3時にもかかわらず、すごい熱気。ライヴは最新アルバム、『Looping State Of Mind』の“It’s Up There”からスタートした。開始早々から、CDのような淡白な音ではなく、濃厚な音に度肝を抜かれる。体の芯まで響き、身震いをさせるような立体的サウンドは、ドラムやベースが打ち込みではなく、生で演奏されているからだろう。重厚感ある音が一瞬にしてレッドマーキーに広がり、みんなを自然と躍らせていく。まさに、深夜のレッドマーキー、プラネットグルーヴらしい音が出ている。
ループをさせつつも、随所に大胆なアレンジがされた“A Paw In My Face”はドラムが激しく、よりフィジカルな演奏となっており、まさにエレクトロ・ロックサウンド!な仕上がり。次の曲へは、包み込むような優しい音で繋げていき、間断なく音のシャワーが降り注がれる。
ジャム・バンドよろしく15分以上の演奏となった“Over The Ice”は圧巻だった。また、印象的だったのはエレクトロニカ、アンビエント、テクノのアーティストによく見受けられるような盛り上がり方ではなく、ロックバンドのように声援と拳がたくさん上がっていたこと。それはきっと、THE FIELDというアーティストがエレクトロ・ミュージックを基礎としながらも、シューゲイザーや実験的なロックサウンドの要素をふんだんに取り入れているからなのだろう。
最後に演奏された“Everyday”では、レッドマーキーとTHE FIELDのドリーミーなサウンドがひとつに溶け合っていた。蓋を開けてみたらファースト・アルバムの『From Here We Go To Sublime』からの楽曲ばかり。当然、このセットリストで盛り上がらないはずがなく、非の打ち所がない、褒める以外どうすることもできないライヴだった。フジロックという場所で、最高のお客さんと、最高のライヴを観ることができたのだから、夜ふかしもたまにはいいものだ。
THE FIELD
写真:加藤智恵子/文:小川泰明