暗闇を鮮やかに彩り、揺さぶるステージ
GOTH-TRADの見事なセットが終わると、淡々とステージに登場してライヴがすぐにスタート。続いては、ロンドンの新鋭3人組FACTORY FLOORがレッドマーキーの夜を彩ってくれた。
ジョイ・ディヴィジョンからNEU!などのクラウト・ロック、さらにミニマル・ミュージックまでの影響を感じさせると一部で話題だが、確かにそういった要素はライヴを見る限りは強い。ループする電子音に人力のドラムが叩きだす硬質なビートが重なり、妖しい彩りを添えていくような声やギターを交えながら徐々に覚醒を促していく。
しかし、ライヴではビートがかなり強烈で躍動感がまるで違う。スタジオ音源を聴いているとかなり暗いミニマル・ミュージックという印象を受けていたが、一気に印象が変わるほど。体中が突き動かされ、さらには耳を劈くようなノイズを武器にする時もあり、驚くほどの高揚感に誘われることもあった。そういった場面では、横に心地よく揺れていたお客さんも手を上げて歓喜を表現していた。メンバーの後方では、幾何学的な模様?(とでも表現すればいいのかな)が映しだされ、刻々と変化。意外と視覚にも気を払ったライヴを展開していたのも印象的だ。
ライヴの中盤では、ビートに合わせて手拍子が起こることもあった。また、辺りを見回してみると外国人の方がノリノリで楽しんでいる様子が目につき、イギリス国旗が会場で振られる場面も何度となく目撃した。正直なところ、ここまでの盛り上がりをみせるとは全く予想ができなかったので体感できてうれしいかぎり。特に終盤の”A Wooden Box”からはさらに強靭なビートが狂乱を呼び、ボウイング奏法も交えながらの終盤の圧倒的なノイズでこの日の最高潮を迎えた。終演後も驚嘆の声が続々。期待の新鋭としての実力を示した。
FACTORY FLOOR
写真:加藤智恵子 文:伊藤卓也