ペースはゆっくりだが着実に上へと昇りつめているのを実感
「ピーク感が出ているスペシャル・アザーズですけど、まだまだ進みます」。そうドラムの宮原良太が笑いながらMCで話していたのだけど、一体どこまで突き進んでいくのだろうと思うくらい、今の彼らは躍進し続けている。フジロックだけ見ても、05年に出演して以来、朝一のフィールドオブヘブン、夜の時間帯のフィールドオブヘブン、ホワイトステージ、そして今回はグリーンステージと、確実にステップアップしているのがわかるだろう。マイペースに見えて、意外とちゃっかりというか、普段の彼らにもある「何か驚かせてやろう」という気持ちが音楽活動においても表れている気がする。
朝一だからギリギリでも観られるだろう…そんな予想をしてしまった自分を反省したい。「本当に朝一なのだろうか?」と思うくらいギュウギュウで、当たり前だけど、ただ通りかかったという感じではなく、みんながスペシャル・アザーズを待っていたのにこちらまで嬉しくなってしまう。オープニングから新曲、そして “IDOL”など、定番曲も演奏していたのだが、いつもよりほんの少し緊張しているような感じも。が、1曲ごとに終盤に向かうにつれ、4人のグルーヴ感は膨らんでいるし、なにより観客は手をあげ、飛び跳ね、大フィーバー状態だ。
MCでは「グリーンステージに立とうなんて思ってもみなかった。結成当初はフジロックに出たいと思ってやってきたけど、立ってはいけない場所だったから」と話す宮原。すると、間を空けずキーボードの芹澤優真が「立つというか、観る場所だった」と、会話を弾ませていく。いや、声を発することで、現実かを確かめ、グリーンステージに立つことの素晴らしさを今改めて実感しているかのようだった。
彼らのライヴはキャッチーなフレーズがてんこ盛りな分、最初から最後まで果てしなくピーク感が続く。冒頭に述べたように、バンド全体としても、たぶん、もうこのままピーク感を保っていくだろうし、むしろ、昇り続けていくだろう。そう願いたい。ラストの“Laurentech”を演奏した後は、「ちょっとだけウェイトしてもらって」と声を掛け、観客全員とメンバーとで記念撮影に。バンドとしての認知度や展開は大きくなっているけれど、そういう気さくさが変わらないのがまた彼らの良さだ。ちなみに、終了後、早速会場を歩き回るメンバーの姿もあり、ファンの人達に声を掛けられ、そこかしこで撮影会をしているのがなんとも初々しかった。