七年前と同じ場所で
チケットがソールド・アウトとなったフジロック二日目。日差しも弱まり始めた午後三時過ぎにレッドマーキーへと向かうと、もうすでにお客さんで満杯状態だった!下手をするとレポ不能も心配される激こみ状態。いかん、このままではフロアに入れないぞ、と思ったその瞬間、若干の入る隙間がフロアに生まれた。そう、アシッドマン(ACIDMAN)の登場を告げるインストゥルメンタルが鳴り始め、お客さんがぐぐっと前につまったからだ。凄い。
オープニングSEは”最後の国”。メンバーが登場すると、曲に合わせフロアから手拍子が沸きおこる。そのまま”±0(プラスマイナスゼロ)”へと流れ込む。足元まで響いてきそうな歓声と、クラウドサーフの嵐。レッドマーキーにこれほどの人が入り、かつ隅々まで熱狂している光景は、さすがに久しぶりだ。
「七年ぶりの、フジロック。こっから見る景色は七年前とおんなじかなと思ったら、記憶よりも何倍もいいですね。邦楽だろうが洋楽だろうが、ロックだろうがロックじゃなかろうがなんでもいいけど、いろんな音楽がここにあふれてて、自然もいっぱいあふれてるから、自分の心で、自由に判断して、楽しんで下さい。そして、あの、助け合って。」
05年に今年と同じくレッドマーキーに登場していた彼ら。ボーカル&ギターの大木がこう語ると、フロアから大歓声が起こった。理知的な詩にハイブリッドなギター・サウンド。彼らの演奏は最後まで途絶えることなく高いポテンシャルを保ち、「まだまだ行くぞ!」と大木がさらにフロアをあおる。
“赤橙”、ある証明”、”飛光”とたたみかけるラストのキラー・チューン連発の前に、再びフジロックに存在するさまざまな音楽、そして自然について語っていた大木。きっとそれが、今年の彼らが見えている素晴らしいフジロックの風景なのだろう。
ACIDMAN
写真:直田亨 文:小田葉子