ラストは名曲の2連発!
雲が苗場を覆ったので、強い日差しは弱まり、少し雨の心配もしないといけなくなった。幸い演奏中、ほんの少しだけ雨粒が落ちたかどうか程度だったので、むしろ過ごしやすい気温になってきた。グリーンステージではこれから始まる英国3連発を控え、ステージ前も徐々に埋まってくる。レイ・デイヴィスのバックはThe88というバンドが務め、キンクスとしてではなく、ソロでフジロックのステージに立った。
バンドのメンバーは黒を基調とした衣装で、レイ・デイヴィス自身も黒い(濃紺か濃茶かもしれないけど)ジャケットを羽織る。頭髪も随分と薄くなり、英国紳士というよりは、イギリスのおっちゃんという感じがする。そして、元気なバックバンドを従えて、元気なおっちゃんぶりをみせてくれた。次々とキンクス時代の名曲が演奏され、レイは飛び跳ね、何度も手拍子を求め、コール&レスポンスをおこない、お客さんたちに大合唱させる。
まずは”I Need You”から始まり、続けて”I’m Not Like Everybody Else”。最初から合唱を要求するので、ちょっと無茶ぶりかと思うのだけど、どうにかステージ前に陣取るお客さんはついてきている。やっぱり、”Sunny Afternoon”とか夕暮れにピッタリな”Waterloo Sunset”はすばらしかった。”Waterloo Sunset”ではレイとバンマス(?)のビルの2人がアコースティックギターで演奏されたので、より深みが増すし、美しいメロディをグリーンステージに染み渡らせたのだった。
軽快に飛ばす”Come Dancing”や”Victoria”でステージ前のお客さんたちを踊らせ、締めくくりは、当然の名曲”You Really Got Me”。最初は気だるいブルーズっぽく演奏する。そして曲にまつわるエピソードを語ってから、ハードロック、そしてヘヴィメタルに影響を与え、ロックンロールの歴史に残すオリジナルに近い演奏へ。お客さんも待ってましたとばかりに歓声を上げる。ラストは”You Really Got Me”の勢いを引き継いで”All Day And All Of The Night”。いろんな面をみせるキンクスのハードなところをみせたのであった。明日はフィールドオブヘブンで演奏する。
RAY DAVIES & BAND
写真:中島たくみ 文:イケダノブユキ