実録!苗場食堂実演会
フジロック二日目の夜。今夜の苗場食堂はいつにも増してスゴい。アツい。まずは苗場音楽突撃隊に始まり(お友達はCHABO&山善!)、スペシャル枠はザ・ダーティー・ダズン・ブラスバンド(THE DIRTY DOZEN BRASS BAND)が飛び出し、そして今年の「フジロックあらし」となったオンダ・バガ(ONDA VAGA)へと続く。あの狭い桟敷周辺スペースに、まさに人多すぎ状態である。
「早くつっこんでー!」とあられもない(?)歓声がサウンドチェック中のステージへ飛ぶ。とうとう今夜の真打ちが登場である。キノコみたいなボブカットヘア、真っ赤な軍服ミニワンピースから伸びる美脚も魅惑的な女性四人組、キノコホテルの登場だ。実演がスタートするかなり前から、桟敷ステージ周辺はお客さんでギチギチである。
キノコホテルの支配人、歌と電気オルガンを操るマリアンヌ東雲(しののめ)は以前、日中の野外フェスステージに対して、「いやぁよ、そんなの。日が落ちなきゃ起きないわよ。」と語っていたのだが、時刻はもう午前0時過ぎ。コドモはテントで寝袋に入る時間に、イケない実演会は”真っ赤なゼリー”でスタートする。そして”白い部屋”、”もえつきたいの”"人魚の恋”とオンナの情念&エロ炸裂のゴリゴリGSサウンドでお客さんを沸かせた後、お客さんの歓声に応えるように支配人からのお言葉が入った。
「なァーに?よくこんなむさ苦しいところにきたわねェ。見えたわよ、テント!わたくしが泊まっている苗場プリンスの窓から。寝るのそこで?アンタ達?よーくやるわァホントに。お金払って、ねぇ?ご苦労様なことで御座いますわよ。」客席からのお美しい!の声には、「分かってるわよ。」とピシャリ。東京都から自家用ジェット機でやってきたという(本人談話)彼女、翌日のオレンジコートに登場する「ゴジラ・放射能・ヒカシュー」にゲスト出演するそうで、会場奥地の印象を「ホワイトなんとかってところまで歩いてみたんです。で、挫折しました。タクシー拾えないかしらと思って。」と語り、ひととおりのMCのあと、後ろのスタッフに目をやり、「(時間が)まきって感じですか?そんな訳無いわよね。アンタが決めることじゃ無いものね。」と涼しい顔で言ってのけるのだ。
後半戦は”非常なる夜明け”で始まる。ときにムチを持ち、ときに鍵盤の上で悩ましくポーズをキめ、会場のあちこちに流し目を送りまくるマリアンヌ東雲を中心に、電気ギターのイザベル=ケメ鴨川、電気ベースのエマニュエル小湊、ドラムのファビエンヌ猪苗代の「煽る演奏」にステージ周辺の熱気もギュウギュウ感も高まりまくりである。高まり過ぎた男性がクラウド・サーフをキメる始末。オマエのキタナい足が支配人の鍵盤に当たったらどうするの!支配人のヒールで踏まれておしまい!
終盤、イザベルのギターにトラブルが起こったらしく、”キノコノトリコ”が予想以上に長い展開に。心配して舞台袖から様子をそっと見に行っていた男性が浅井健一だったのは、ここだけの話。無事トラブルが解決されると、再びボルテイジ全開、桟敷席で見ているお客さんもスタンディングオベーション状態になっている。”キノコホテル唱歌”でラストを迎えると、案の定モーレツなアンコールが起こり、ステージに戻ってきたメンバーに拍手喝采だ。
「早く終わらせて電気グルーヴが見に行きたいのよ!」とうそぶき、ツンぶりを見せた後に「しようのない子たちね。」とデレ要素もご解禁して下さいつつ、”静かな森”、そしてまたまた続くダブルアンコールは”キノコホテル唱歌2″で狂熱の苗場食堂実演会は幕を閉じたのであった。