のっけからもう毒吐きまくりの小春に、観客が湧く湧く。おりしもグリーンステージではレディオヘッドが始まっていて、オアシスエリアは閑散とした状態。その中に人だかりのできている苗場食堂を見つけ、通り過ぎる人が「何やってんの?」とのぞいて帰れなくパターン多数。そんな感じでチャラン・ポ・ランタンのステージにはジワジワと観客が増えていったのであった。
「あっち(レディオヘッド)の音が大きすぎてうるさい」「正直、アタシも見てやってもいいかな?と思った。」と、思いっきり上から目線で語る小春。対抗してこちらもゲストを呼んだ、と言う。(ホントかよ)
「イギリスからやってきたゲスト、ラジオ頭さんでーす!」小春が紹介すると、チープな段ボール製のレトロなラジオを頭にのせたももちゃん登場。あまりにもお約束だが、可愛いのでノープロブレム。そのままレディオヘッドの“パラノイド・アンドロイド”を熱唱するももちゃん…と、苗場食堂が急きょNHKのど自慢会場に。しかしながら、この“パラノイド・アンドロイド”がメッチャ良かった!ももちゃんの歌は何となくカラオケ風味なんだけど(よく歌いこんでいて十八番と思われる)、こんなにアコーディオンが似合う曲だったんだ?と感嘆することしきり。レディオヘッドファンの皆さんのみならず、メンバーにもオススメ。一聴の価値ありです。
チャランポランタンは愛すべきチープさに囲まれている。飾らず、毒気もあり、可愛い顔でブタさんを持ちながらも情念を感じさせる歌声に、抒情的なアコーディオン。彼女らの曲をはじめて聴いた時に思い返したのはエディット・ピアフだ。ピアフが携帯の普及したこの現代に生まれ変わったら、こんな風に身軽にたくましく笑っているかもしれない…そう感じつつもライブが進むにつれ現れるレトロ・ジャパニーズのごった煮感と無国籍風味。包括するものが広すぎンだよ君たち!と突っ込まずにはいられないが、●●風というカテゴリにおさまらない、それもチャラン・ポ・ランタンの魅力なのだ。
ライブ中盤には、2年ぶりだというアルバム『つがいの歯車』発売のお知らせが。何か色々と苦労したようで、彼女たちの公式サイトでは、苦労で溜めたパワーがはち切れんばかりに漲ったハリウッド超大作並みの予告が見られる。その横には収録曲“人生のパレード”で、巨匠ポール・グリモーの『王と鳥』の映像がアコーディオンに乗せて流れている。悪趣味ギリギリのこのセンスに敬服。
「裸だと捨てられない事に気付いた」とアルバム告知用チラシには小春が描いたももちゃんのヌード!このムスメたちの頼もしさ、図太さ。日本の未来は明るいね。ちらしのももちゃんは「買わなきゃ脱がない」と言ってますのでCD買うてね~お兄さん。買っても脱いでくれる保証はないが、ま、チャンスに賭けよう。
チャラン・ポ・ランタン
写真:Julen Esteban-Pretel 文:mimi