カナダ発The Clash、ラストは苗場食堂
「Power to the People!!」とジョン・レノンの声が今年のフジロックの終了を合図する。グリーンステージでは、レディオヘッドの興奮冷めやらぬ中、大勢の人が笑顔で円陣を組んで回っているのだ。この風景を見ると「ああ今年も終わったのだ」と一息つき、さぁオアシスで飯!もしくはレッドマーキーでもう一汗だ!なんて人も多いのではなかろうか。しかし盛り上がってるのはそこらだけではない。グリーンステージのレディオヘッド帰りの観客を掴んでいたのは、ケンジントン・ヒルビリーズ、苗場食堂に登場だ。
ケンジントン・ヒルビリーズは、初日に木道亭、2日目はピラミッドガーデン、最終日はレディオヘッド終了後の苗場食堂と実に3日連続出演しているバンド。ラップスチールギターが気持ちいいカントリーロックバンドだ。さすがに3日目となると、バンドも場慣れしている。オンタイムで登場するや「Everybody! Stand Up & Dance!!」と無理やり観客を立たせ、カントリー風にアレンジされたクラッシュの”ロンドン・コーリング”が始まった。親愛なるジョー・ストラマーの曲で踊らないわけがないのが、フジロッカー。1曲目からテンションは最高潮になった。最終日の23時過ぎ、一番疲れているはずなのに、体を動かしてしまう。きっとフジロックをまだまだ楽しみたい、終わらせたくないという意地なのだろう。観客のテンションは異常な程高い。そんな観客の気持ちをわかってか、ケンジントン・ヒルビリーズはクラッシュの曲を織り交ぜ、その度に観客を湧かせたのだった。
「フジロックはメインステージだけではない」こんな言葉をよく耳にするが、実際に足を運ぶことは少ないんだと思う。特に今年のラインナップなら、小さいステージを見てる暇などなかっただろう。しかし、どこでもドラマは起きるのだ。僕もこのレポートがなかったら、この時間に苗場食堂には居なかったと思う。でも実際に足を運んでみると、最後の最後までフジロックにしがみつこうとするフジロッカーを見て、非常に感慨深くなった。そして僕もまた、まだまだしがみつこうと思ったのだ。そう最後まで思わせてくれたケンジントン・ヒルビリーズに感謝したいと思う。
Kensington Hillbillys
写真:Julen Esteban-Pretel/文:丸山亮平