聞いたところによると本日の来場者は4万人とのこと。道行くフジロッカーズのおしゃべりに耳を傾けていると、「とりあえず見たい」ということでよく名前を耳にしていたのが電気グルーヴだ。スタート寸前のレッドマーキー近辺は一歩も動けない程の大渋滞で入り口にたどり着くのもままならない状況だったらしく、もちろん中も人でパンパン状態である。
「どうなっちゃってんだよ!俺達が電気グルーヴだ!」でスタートしたライブ(注:電気の前にDJをやっていたOL Killer=岡村靖幸が1990年に発売したシングルをもじっています)は”ハロー! ミスターモンキーマジックオーケストラ”で幕を開け、”少年ヤング”、”Acid House All Night Long”に続いて”shame”、”shameful”と新しい曲が続く。
シルクハットにTシャツといういでたちのピエール瀧は「すみれの花にカマキリを!」とともにカマキリのポーズをピタリとキメていた。本当に何をやらせてもバリッとした御仁だ。サポートのagraph(牛尾憲輔)は白いポロシャツ、卓球は見えにくかったが黒いTシャツだったか。
段ボール製のロボットの着ぐるみで登場(NONUKE2012で出演した「ライディーン君」への対抗馬?)した瀧が客席を多いに湧かせたあと、あらためて「こんばんは、電気グルーヴでございます」のいつものMCをはさんで”ガリガリ君”へとなだれこんだ。卓球が「瀧!」と叫んでからのコール&レスポンス「ガーリガリ!」で客席の一体感はますます高まって行く。
続いて”Flashback Disco”では卓球がブースから立ち上がってボーカルを取り、瀧はお腹を余すところなく披露していた。鍋のふたを棒でコンコン叩きながら”スコーピオン”、卓球がハンドマイクを持って前方に出て来てボーカルを取った”NO”で盛り上がりは最高潮に達し、サビの「学校ないし家庭もないし」では満場一致の大合唱である。これ以上はないだろう、もう十分だ、と思ったところから卓球と瀧がふたり並び、肩を組みクルクルと周りながらの”電気ビリビリ”はこれまでのレッドマーキーで一番たくさんの笑顔がかがやいた瞬間だったのではないか。とにかく楽しそうに踊りまくるオーディエンスは「電気を大切に!」の呼びかけに答えながらごった煮状態になっていく。
「みなさんお待ちかね、例のやつです!」との卓球のMCに続いたラストは”富士山”(もちろん着ぐるみ付き)。
ノンストップで突き進む猪突猛進なおっさんどもに完全に翻弄されたレッドマーキー。グリーンのサービス精神とオールナイトフジでの近い距離感のいいとこ取りを実現し、すし詰めの深夜という最高のシチュエーションで電気グルーヴの魅力を余すことなく表現しつくした、最高のライブとなった。
電気グルーヴ
写真:府川展也 文:永田夏来