まさかのスマパンの曲を演奏!
そうなるだろうなと思っていたら、やっぱりレットマーキーは満員になった。特にジャック・ホワイトが終わったと思しき時間には入ることも出来なかったのではないか。自分はあらかじめ中盤くらいにいたので、そのへんの細かい事情はわからないけれども。
パブリック・エナミーが流れる中、なるべく前でジェームス・イハを観たいお客さんがどんどんやってきていて95%くらいになり、ほぼオンタイムでライヴがスタートする。イハを中心に、ギター、ベース、ドラムという編成である。イハは基本的にアコースティックギターを手にすることが多い。素朴でやさしい手触りのするメロディアスな歌を次々と披露する。
正直、イハの歌は「上手」とは言い難いし、”Gemini”の出だしなどを間違えるし、「素朴」という言葉が悪い方にも使えてしまうかもしれない。だけど、ファンはよく知っているはず、そうしたところも含めてジェームス・イハの魅力だということを。
“Be Strong Now”で始まったライヴは、今にピッタリな”Summer Days”や、やさしく美しくて切ない”Till Next Tuesday”など、蒸し暑いレッドマーキーに清涼感をもたらし、心地よい空間に変えてしまう。イハが作る曲にはそうしたマジックがある。それを満員のお客さんたちは実感できたのではないだろうか。日本語での挨拶やメンバー紹介も微笑ましい。
終盤、アップテンポな”Speed Of Love”をプレイしたあとに、サプライズがやってきた。スマッシング・パンプキンズの”Mayonaise”をフルコーラス歌ったのだ。かつてイハがギタリストを務めた全盛期のスマッシング・パンプキンズの曲にお客さんたちも大歓声を上げる。続いて、最後の曲は、デヴィッド・ボウイの”Rock’N Roll With Me”のカヴァーだった。自分としては大盛り上がりだったけれども、お客さんのほとんどはわからなかった様子。でも、声も心なしかボウイに似せようと頑張っているイハにエールを送りたくなった。
JAMES IHA
写真:熊沢泉 文:イケダノブユキ