ラテンの歌姫、堂々登場
オレンジの幕開けを告げたのは、MIMI MAURAだった。アルゼンチンの国民的バンドで、ラテン・グラミー賞の常連でもあるロス・ファブロソス・カディラクスのメンバー2人、そして石川道久セッションを従えての登場だった。現代の「ロック・ラティーノ3大歌姫」のひとりでもあるミミは、可愛らしい笑顔と、はっきりとした発音の日本語で、オーディエンスを盛り上げていた。
ミミの人生の伴侶でもあるセルヒオ(白いもじゃもじゃ頭、と言えばわかりやすいかもしれない)が、ギターを弾きながら、はたまたサックスを吹きながらオーディエンスを煽り、控えめながらも堅実なバックが、支えていく。
リハを重ね、そのつど飲みにくりだして地道に交流を深めてきた結果の密なやりとりが、ステージ上の視線の交差にあらわれていた。
ドーン・ペンの”No No No”、ウェイラーズの”Judge Not”など、ジャマイカのクラシックを取り入れながら、プエルトリコやアルゼンチン土着の曲を取り上げたりと、彼女のキャリアの集大成のようなライヴを展開したミミの歌声は深く、見事なまでに奥地へと溶けていったのだった。
写真:Julen Esteban-Pretel 文:西野太生輝