GREEN STAGE, | 2012/07/28 02:23 UP

百々和宏とテープエコーズ

捨てたモンじゃないね、人生とやら

「第1回フジロックに行った百々(和宏)と出演。感慨深い。あれは本当に人生が変わる程の衝撃でしたから。バンドやってて、心折れそうになったりネガティブになったりする弱い自分だけど、今回は本当に嬉しい。小さなステージなんだけど。俺には大きな意味があるんだよ。」

こうつぶやいていたのは、今年のフジロックで苗場食堂に登場する百々和宏とテープエコーズのベース、有江嘉典。今年、百々和宏はモーサム・トーンベンダー(MO’SOME TONEBENDER)のボーカリスト&ギタリストとしてではなく、ソロとして苗場食堂に登場してくれることになっていた。

しかし、なんてったって出演時間が夜の九時半。見事にグリーンステージのヘッドライナー、ザ・ストーン・ローゼズ(THE STONE ROSES)と丸かぶりである。少し早めにステージに登場してサウンドチェックを始めた百々、「ギターのチェックをしたいんですけど」と言ったかと思うと、おもむろにローゼズの”I Wanna Be Adored”を演奏し始め、「ローゼズじゃないよ〜ストーンローゼズ見たかった〜」と歌っている。案の定、演奏時間前から小ぶりな桟敷ステージ周辺には、結構な人だかりができていた。

百々和宏は三日目にジプシー・アヴァロンにもソロとして登場してくれることになっているけれど、苗場食堂はテープエコーズの演奏が加わって、ぐっとゴージャス&ジャジーなブルース・バンドになっている。「ブルースはお好きでございますか?」と客席に言いながら、百々がブルース・ハープを吹き鳴らし、”高架下の幽霊”が演奏され始めた。ベースは前述の有江嘉典、ギターは09年に同じく苗場食堂に「埋火(うずみび)」のギタリストとして登場してくれた見汐麻衣。そしてドラムのあだち麗三郎は今年のフジロックで片想い、ceroと合わせてなんと3バンドでの出演となっている。フジロッカー濃度の非常に高いメンバーだ。しかしこのバンド、音でかいな!(注:良い意味です)

四月に発売されたばかりの彼のソロアルバムから、”ポテトフォーピープル”へと続くと、「どうよ!楽園へようこそ!」と百々がMCをとり、「十年かけて(ソロバンドを)グリーンステージへ…」とブチあげる!「頑張ろうね。」と隣でツッコみもせず言葉を返す有江。彼らは本気である(笑)。

キモチいい曲をやりますよということで続くのは”クラクラ”。同じく演奏の始まっているグリーンステージの音が流れてくるのが聞こえると、「なんか音が聞こえよるね!なんのバンドやろね!あれは!」と百々の九州弁が炸裂する。どうやら彼らは友人達にもローゼズを見に行くと言われてしまっていたらしく、対抗するには「これはパンツ脱ぐくらいしないとダメかなと」なんて言ってみせ、お客さんたちも大笑い。グリーンステージにも負けぬ大盛り上がりとなっていた。

「そんなキミたちをニューヨークにお連れします」と言いながらジョニー・サンダースのカバー曲”Sad Vacation”ではメンバー紹介も行われる。前回出演した時に機材トラブルに見舞われた見汐も、無事リベンジが果たせているようで、とても楽しそうだ。最後は”ロックンロールハート”でライヴは大盛況のうちに打ち上がった。

97年嵐の第一回フジロックに福岡から車を飛ばして一緒に参加した有江と共にフジロックのステージに立つことについて、百々もこうつぶやいていた。「捨てたモンじゃないね、人生とやら。」

余談ですが、終演後にお客さんから「また最初から!」とアンコールをかけられ、百々が思わずズコー!とコケていたのは、ここだけの話。


写真:府川展也 文:小田 葉子
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