日本産ファンク、2年ぶりの登場
ダーティ・ダズン、ギャラクティック、サード・コースト・キングスと、ファンク勢が複数やってきたのが今年のフジ。日本産の、インストゥルメンタルのファンクを叩き付けて、炎天下のオレンジを黒く塗りつぶさんとしていた。
2年前、「埼玉の粗大ゴミ」を自称してヘブンに登場した彼らだが、今年は「漢(おとこ)たち」をキーワードにライヴを展開。曲はインストのみで、MCでしゃべらなければかなりの伊達男だ。そのMCは、漫談のように達者で、音のみならず、アジテーターとしての実力も兼ね備えていた。何より、面白い。
中盤より、「剣道ダンス」なるものを発想し、軽やかなステップと、エア竹刀による「面(メン)打ち」を繰り返していく。単純な動きはオレンジ全体に伝搬し、皆こぞって、はた目から見れば奇妙な踊りをくりかえすこととなった。後に控えるチェ・スダカのメンバーも、その音と奇妙な動きを楽しんでいたようだった。
モカキリも、スライやミーターズといった、ファンクの「黒さ」に憧れ、そこに触れようともがいた経験があるはずだ。そこから一歩進んだ部分で、日本の香りと混じりあわせることができているように思う。先人たちの要素はすでに吸収している。これからは、彼ら自身が憧れの存在となり、真似されていくはずだ。
写真:北村勇祐 文:西野太生輝