気象変動に揺れる3つの島を描いたこの映画。画面にでてくるのは、島に住む人々の暮らしぶり。ただそれだけ。派手な効果音もBGMもナレーションも入っていない。リアルな生活音と人々の声だけで構成されている。
ツバルの住人は、雨が降ればその中で遊び、島にあるもので生活をし、ネットも電話もないから人間同士のつながりを大事にして生きている。一家は大家族で隣近所も仲良し。日本で例えるなら、江戸時代の長屋みたいだ。貧しいけど豊か。豊かだけど貧しい。いいとか悪いとかではなく、あるがままの「現実」として淡々と映像が流れていく。
スロウ・ライフといえばちょっと羨ましい気もするけれど、モノに溢れた社会に慣れてしまった自分にこの生活ができるか、と問われれば「イエス」と答える自信はない。でも、家族や近所の人たちと触れ合い、笑い合うことをみならっていくことはできるのではないか。そんなことを思い出させてくれる、NGOヴィレッジらしい映画だった。
写真、文:輪千希美