紹介する時にはこの枕詞がかなりの確率でついていただろう”サーストン・ムーアのお気に入り”という新世代サイケデリック・トリオ・バンド、THE ENTRANCE BANDが昼間のフィールド・ヘヴンに引き続いて、ド深夜の3時過ぎからパレスでも演奏。ほろ酔い気分のこの会場にマッチしたディープなサウンドが心地よく感じられたステージだった。
聴いていても、ブルースやサイケの旨みがたっぷりのっかったサウンドとハイトーンでちょっとヨレヨレ気味に歌い上げるヴォーカルが特徴としてあげられるように思う。70年代辺りのヴァイヴを感じさせ、なおかつ独特の浮遊感や味を抽出。しかしながらサイケデリックな嵐を巻き起こしながらも演奏は力強い。スピーカーのヴォリュームを全開にして、破格の音圧をつくりあげる。そのサウンドの前は視界をゆがませ、意識すらもゆがませるほど。それほどの重たいサイケデリック・チューンの嵐。手数の多いドラムも目を見張るものがあるが、可憐な容姿とは裏腹にぶっといボトムで支える女性ベーシストには、萌えている人もいたかもしれない。そして、先導者であるヴォーカル兼ギタリストのガイ・ブレイクスリーの恐ろしく煙たいギターとLIGHTNING BOLT辺りを思わせる奇天烈ヴォーカルが痛烈なインパクトを残していく。この3者の強烈なアンサンブルは本当に圧巻だった。時に繊細な表情を見せることもあるけれど、総じてあれだけ煙たく重たいサウンドを終始たたきつけるのには、本当に参った。帰宅するときには、耳がヒリヒリ。だが、それも気持ちのいい痛み、そういった感情を抱ける良いライヴを体験できた。
写真:佐俣美幸
文:伊藤卓也
JVC Cheers Neo with Chata & Miwa, presented by JVC Force TYO |