メンバー全員がモリアーティ(Moriarty)性を名乗る5人組だが、ラモーンズと同じく血縁関係はまったくない。それでも、ステージの中心にちんまりと集まるあたりは、音楽で結びつく絆の強さがうかがえる。
去年に来日公演をして、勝手知ったるジャパン、という気分になっているのだろう。言葉の端々で日本語を使っている。ドラムに変化を持たせ、ベースは基本に忠実。ギターはアコギにドブロ、グレッチと多彩で、ブルース・ハープが要所で割り込んできて、さらに、ジャネット・クラインを思わせるかわいらしいヴォーカルが最後の色づけをしていく。
「モリアーティ」というだけあって、ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』を意識しているのだろう。あの作品ほどに破天荒な旅の話ではないにしても、旅の中で得たヒントや出来事を曲に表し、確かにのどかな風景がこちらの内面に像を結ぶのだ。
最後には、メモを取り出し丁寧な日本語で今後の予定を伝えていた。東京(8/4 渋谷クワトロ)、愛知(8/5 名古屋クワトロ)、大阪(8/7 大阪城音楽堂)にて、エゴ・ラッピンと対バンするというので、興味のある方は是非!
写真:穂谷益代
文:西野太生輝