雨ロックフェスを覚悟させられた昨日の前夜祭も、ここへ集う人の思いが通じたのか、青い空が顔を出すフジロック初日の本日。Oasisの”Liveforever”が、そしてこの曲を聴いてこそ、フジロックを実感すると言ってもいい”田舎へ行こう”がグリーンステージに流れる。グリーンステージ前にはカラフルに彩られた人が点と化し、グリーン後方の方までの集合体となっている。いよいよ今年のフジロックが開幕するのだ!
大きなステージに登場した越智志帆はとっても小柄。柄×柄×柄のサイケな衣装に分厚いウエッジソール。初めてのフジロックでの緊張を隠すかのように奮い立たせて歌い出すもみるみるうちにステージに立つ側にしか味わえない心地よさを楽しむ姿へと変わっていった。あんな小さな体のどこからと思うほど、中音域は腹の底へと響き、高いキーになると、苗場の空に声が溶けていく。越智志帆がグリーンに広がる澄んだ空気に浮遊し、オーディエンスを包み込んでいくのだった。彼女の持つ女子力とは、サイケ+ポップ感よりも、もっともっと泥臭いロック魂と肝の据わった眼力で構成され、バックの重くてブレないサウンドに負けることなんてこれっぽっちもなかった。すべての曲のタイトルなんかわからなくても、あぁ、あのCM、あのドラマの、あの朝のテーマソング、そしてワールドカップのあの曲! とSuperflyの浸透ぶりを見せつけられた。
「本っ当にグリーンなんですよね」。今年初めてフジロックのステージに立つSuperflyこと越智志帆の感想はこれだった。何がグリーンなんだか、と思いながらも、その短い言葉にこもった意味は、2010年のフジロックをグリーンステージのSuperflyで始めた人には、それ以上の説明は不要だったことだろう。
写真:穂谷益代
文:ヨシカワクニコ