MUTEMATHのライブが終わってすぐ、タイミングを見計らったかのように雨脚の強くなってきたグリーンステージ。また雨か…と4年前のKEN YOKOYAMAのステージを思い出していた。
4年前とは横山以外全員メンバーが違う。Ken Bandがほぼ日本人になり(ドラムのダーマンは日本語がわからないという設定です)Ken Bandの久しぶりのフジロックというよりは別のバンドを見ている気になっていた。
ライブの始まる時間が近づくと、SEなしでKen Bandが登場した。一曲先にやりますと言ってRaindrops Keep Falling On My Headが披露される。雨ですら楽しい気分になってしまう!「Ken Bandやります!」という横山のいつもの掛け声でライブが 始まった。Kill For You、Pressureとファストチューンが続き、雨なんかおかまいなしにモッシュ、ダイブの嵐が起こる。いい歳であろう人たちがダイブを終え、きらっきらの笑顔で、モッシュピットへ帰っていく姿を何度も見た。誰でもKen Bandのライブではキッズに戻ることができるのだ。
Running On The Winding Road、Ten Years From Now、Still Burningと普段のライブであれば終わりの3曲、と言い切ってしまっていいほどの曲が終わった後、少しの沈黙があった。すると誰もが聞き慣れたあのイントロが流れ出した。Hi-STANDARDのSTAY GOLDだ。後ろから次々と人が走ってきて、モッシュピットへなだれ込んでいく。みんな顔がゆるみっぱなしだった。久しぶりに見た、なんて人は不意打ちであっただろう。予定調和ではない盛り上がり方であった。「まさか聞けるなんて思わなかった」という声が聞こえた。この奇跡の瞬間に立ち会えた人は本当に幸運だと思う。
さてKEN YOKOYAMAのフジロックのステージ、次はいつになるのだろうか。今から待ち遠しいものだ。
写真:深野輝美
文:岡安いつ美