キモイ、怖い、痛快、凄い!
フジロックに来ている、特にクリエイター達にこれほど強烈なカウンターパンチを浴びせてくれた人もいないのではないか。
通常、どんなアーティストでもステージ上のサウンドと映像がマッチしてひとつの作品として完成されているケースは稀で、大抵の場合、映像は“添え物”である場合が多い。また、「アレコレ口出しした結果」と思わされるような欲望丸出しのものも見られる。映像と音が一体となったステージなんてなかなか拝めるものではない。こんな2時間映画より強いインパクトをグリーンステージでやってのけるとは…この先、こんな空間を体験できることがフジロックであるのだろうか?
“肉体”にこだわり抜いた彼の映像は多くが人間の裸体である。裸でボコりあう男女に炸裂するビート、寝ている間に顔をアレコレやられる子供は、まるで繰り出されるノイズがいたずらしている様だ。時折差し込まれるグッチのフローラの映像がキレイで、逆に怖かったりする。…センパイ勘弁して下さいよおなかいっぱいっスと言いたかった人も多かったのではないかと思うくらい、振り向くと口を開けてポカーンとしている人、人、人…ああ、ラバージョニー!気味が悪いのに忘れられない。
完璧な映像と音のリエゾンからレーザーが山に向かって発せられる。足もとの水たまりにグリーンの光が反射して見とれる。ここはどこ?
こんなエグイ映像ばかり作っている本人が普通にイケメンってところも意外性があって良い。ブサイクなら好感度アップ。まあ顔は何でも良い。大体ステージ真っ暗で映像以外なにも見えなかったから。
重ねて言うが、フジロックに来ていながらクリス・カニンガムを見なかったクリエイターはyoutubeでも何でも探してみるべし。そして散々、後悔して、高いお金払って、どこか海外に飛んで行ってでも見るべし。その価値はある。
何度でも言う。いやはや、エライもん見せられてしまった。
写真:森リョータ
文:mimi