ただ淡々とピアノを演奏するわけではなく、1曲という短い時間の中でも最大限のステージングを披露してくれるジャズ・シンガー。それがピアノを自由自在に操ることができる、JAMIE CULLUMだ。
約6年ぶりにグリーンステージに立つ彼は、4月に来日公演を開催するなど勢力的な活動を展開中。しかも1月には、なんと約4年ぶりにアルバム『ザ・パースート』も発表している。日に日に勢いが増している彼は、一体どのようなステージを見せてくれるのだろうか。目の前に起きる光景を想像しながら、出番を待ちわびていた。
「盛り上がっている?」という彼の一言から、ライヴの本編がスタート。鍵盤を力強く弾くと思えば、急にステージ上を走り回っていく彼。しかもピアノの上に登り、そのままの状態で歌うなんてことも。といってもどのような場面でも、歌を大切に紡ぐことは決して忘れることはない。いつもありったけの力を注ぐように、メロディを繋いでいくのだ。息づかいまでもが繊細で、時おり聴いているだけで涙腺が潤んでしまうことも。
またラスト曲の前に彼はステージを降り、ハイタッチをしながらオーディエンスが集まる通路まで走りぬけてしまった。すると一瞬にしてハイタッチを求める人達が集結。柔軟性のある彼の姿に、思わず惹かれずにはいらなかった。
新世代のジャズ・ミュージシャンと呼ばれる彼。今後もさらに表現者としての新境地を開拓してくれるはず。彼が作る音楽の渦に、早くも飛び込みたいという気持ちばかりが膨らんでいる。
写真:熊沢泉
文:松坂愛