オーガニックな空気が漂う楽曲から、ハッとさせられるほど強い意志を感じるナンバーまで幅広く聴かせてくれるJOHN BUTLER TRIO。彼らは昨年メンバーチェンジを行い、今年の3月に約3年ぶりとなるアルバム『April Uprising』をリリースした。そして10月に単独ジャパン・ツアー「JOHN BUTLER TRIO JAPAN TOUR」を控える中、フジロック2日目のグリーンステージへ。
まず1曲目「Don’t Wanna See Your Face」のイントロが鳴り響いた途端、体の内側で何かがパチンと弾けるような感覚に。まるで奥底の部分から、気持ちを解放してくれるようである。そして以前より自由度やポップ感が高まったことで、誰しもがより思うようにリズムを感じ取っているようだった。
また、ギター・ボーカルのジョン・バトラーがひとりで演奏する場面も。音を鳴らしながらアコギのボディをリズミカルに叩くなど、胸が高まるようなパフォーマンスを見せてくれる。彼の演奏の加速度と同じように、オーディエンスのテンションも徐々に沸点に近づいていくよう。
終盤にはドラムのニッキー・ボンバと一緒になって、他の2人のメンバーも手にスティックを。そしてドラムセットの両隣に立ち、置かれたタムでリズムを刻むなんてことも。そこには何のしがらみもない、ピースフルな自然空間が広がっていた。
曲が終わるたびに起こる大歓声の中で、彼らの進化した姿をじっくり堪能することができたこの日。今後の日本でのライヴは、大阪を皮切りに広島や東京、横浜を巡る単独ツアーだ。彼らはこの先も止まることなく、日々突き進んでいくに違いない。
写真:北村勇祐
文:松坂愛