BEARDYMAN

Tag:,,

7/30 12:15  Twitterに投稿する

アーティストと呼ぶべきだろうか、それとも、パフォーマーと呼ぶべきだろうか。ヒューマン・ビート・ボックスという技法(口だけでベースやパーカッションなどを表現する)で豊富な音を操ってしまうBeardayman(ベアディーマン)のステージを例えるのは一言では難しい。イギリスのビート・ボックスのチャンピオンにも輝いたという実力派は、千思万考ともいえる数多の声色を操り、苗場に滴る雨よりも体にジンと響く心地よさを突き詰めているように感じられた。

まずは挨拶代わりに、ヒューマン・ビート・ボックスを披露して、自らの存在感をアピール。あの口から放たれる扇情的なパーカッションは、レッド・マーキーに揺れをもたらすには十分だろう。このいきなりのパフォーマンスには、僕の見ている周りからは「スゲー、あれを口だけでやっちゃうんだ!」と感激の声をあげている人が数人いるのも確認できた。個人的にも、あれだけの音を自らの口だけで表現できる凄さには驚嘆するし、これほどまでに心地よさを伴っているところにも驚く。自由自在に蠢くリズミカルなボイス・ビートには体を揺さぶられるし、80年代ニューウェイヴっぽい風情や時折挟まれるソウルフルで柔らかな歌声にも惹かれるものがある。アンダーワールドのカヴァーを披露したとなれば(ユーリズミックスのカヴァーもやっていたそうだ)、盛り上がりが一段と膨れ上がるのは言うまでもない。20分にも満たないステージではあったのだが、度肝を抜くパフォーマンスの前に心を射抜かれた人も多いことだろう。たどたどしい日本語を使った一生懸命のMCも彼の良き人柄を物語っていた。

写真:直田亨
文:伊藤卓也