去年はトム・モレロ率いる、ストリート・スリーパー・ソーシャル・クラブが、そして今年はデトロイト・ソーシャル・クラブが…と去年からソーシャル・クラブづいてるフジロック。
去年の男だらけのSSSCに比べたら、こちらデトロイトのソーシャルクラブの女子率の高さには目を見張るものがある。それも納得。白いスーツで躍り出てきたジャーヴィス・コッカーを踏襲したようなフロントマンに目が釘付け。あーこれじゃあトム・モレロは…残念だな。
7月7日にアルバムデビューしたばかりの新人なのに、人生使いこなしたオーラが益々ジャー様を思いおこさせる。しかも、名前がデヴィッド・バーン!!更にバンドはデトロイト~と謳っていながらUKはニュー・キャッスル出身!PVではコルピクラーニ張りに森感満載だったので素朴なキコリ達だと思ったら、この伊達男ぶり!爆笑!何だこのバンドは。おまけに、ふと目の前を見ると、セキュリティの男の子はビジュアル系。初めて見たぞ、ビジュアル系のセキュリティなんて。しきりと前髪を気にして、クネッとナナメに立ってる色白の彼の向こう側に見える、ぴょんぴょん跳ねてるデヴィッド・バーン…シュールすぎる。
シングル発売だけでフジロック出演なんて山ほどいるので別に驚かないけれど、ぐるぐる渦巻くうねるビートにちょっとダーティーなサウンド、そして、のびやかなボーカルと、アート感…プライマル・スクリームのオープニング・アクトに抜擢されたのもうなずける。カサビアンに通じるものがあるかな?大物の予感を十分に持ち合わせている。ついでに言えば、発売されたばかりのデビューアルバムのプロデューサーはジム・アビス。このサウンドでアビスと言えば、ああ、やっぱり、と思った人も多いはず。
しかしながらプロデューサーなんて関係ないのがライブで、バンドの実力が嫌という程露呈されてしまう場だけど、そこがまた堂々としたもの。演奏はもとより、彼らのそのサウンドとステージパフォーマンスがマッチしていて、客の盛り上がりも相当なもの。白いスーツのジャケットをおもむろに脱いでは振り回し、投げる!ベタなプレゼンテーションが決まっていて、カッコイイ。
近い将来、更に沢山のお客さんを前に、このI love me! なパフォーマンスを繰り広げているのが想像に難くない。ひとつだけ残念なのは腹が引き締まっていることだ。スーツの下は、ナマっちろい細い体にぽっこりビール腹、それがUK大物アーティストのお約束。でも放っておけば、ワールドワイドに活躍する頃には立派なポッコリになっているはず。それは先人が証明している。
それにしても、こういう期待値の高いバンドに会えると本当にワクワクする!
Red Marquee万歳!
写真:古川喜隆
文:mimi