こんなにメジャーになったのに、以前よりもインディー臭漂うドイツ小僧に好感度アップ!
2007年のジャスティス、シミアンが制覇してから土曜深夜のレッドマーキーは伝説になった。しかしあまりにも2007年の圧倒的パワーが尾をひいてしまった感はあったのだが…。今年はイタリアの新顔レモン男リヴァ・スター、ドイツのボーイズノイズ、おなじみロックをデストロイ!のマイロとヨーロッパ勢で占められた。何度も来日していて、日本では結構おなじみなりつつあるボーイズ・ノイズことアレックス・リダが今年の土曜深夜の中心といっても過言ではない。赤いベースボールキャップでもくもくとプレイする姿は相変わらずだが、何だかオーラというか、貫禄みたいなものを感じる。しかしメジャー感や大物感はない。…何というか、長く留年していて、同じクラスだけど年上の人って感じ。実際は小僧といってもいい大人のハズだけど。
そして、書いてるのか?天然なのか?謎の眉毛はやっぱり今日も繋がったままで嬉しくなる!
マーキー内にも赤のベースボールキャップが目立つ。スクリーンからはPOWER!BNR!の文字が赤黒チカチカとブレイクビーツの波状攻撃とともにマーキーをバキバキにアゲまくる。その破壊力は相当なもので、マーキーは熱気でムンムンのサウナ状態。天井から、冷やされた水蒸気がボタボタと雨のように垂れてくる。そしてこれがまた臭いんだ!でも何だか臭い方がみんな楽しいみたいで、その場を動かないんだ!アホみたいに踊り続けてるんだ!
それを見て悟った。フジロックは欲望を解放する場なのだ。
ボーイズ・ノイズ→マイロとねちっこい大人のいやらしい流れで夜は更けていくが、昼間の雨にやられて、更に赤黒チカチカにこれだけ踊らされてはエナジーチャージも風前のともしび。疲労困憊の身体に曲がらないロボット状態の両足を引きずってレッドマーキーを後にする。同じように道行くロボット達。しかし振り向くとまだまだ臭い地帯で奇声をあげて解放された大人たちがキラキラ飛び跳ねているのであった。
写真:古川喜隆
文:mimi