スウェーデン人とイギリス人を中心に結成されたALBERTA CROSS。ハードな部分もソフトな部分もたくましい輝きを持っていて、まっすぐなサウンドがとても魅力的に映るバンドだ。あのリアム・ギャラガーにも認められて、オープニング・アクトを務めたこともあるという。というわけで、非常に期待が込められているバンドの一つだろう。
ライヴを見ていて思ったのは、いい歌を届けてくれるバンドだなあということ。容姿はキーボーディストを除く4人が長髪で一見するとハードロッカーっぽいのだが、彼等の音楽は前述したように、無垢な響きを持った端正なロックを鳴らしている。ギター、ベース、ドラムがサウンドを編みこみ、キーボードがゆるく被さっていく。ただ、その中でやはり歌の良さを最大限に引き出すような構成がとられている。ゆえに彼の声は胸の奥まで浸透していく。その歌には悲しみを受けてくれるかのような、また前へ踏み出す力を与えてくれるというか、そんな力があると思う。
その中でアコースティック・ギターの甘美な響きと歌の良さを生かした曲で、感動を誘ったり、Voがタンバリンに持ち替えてリズム隊、キーボードと共に静かに燃え上がるような空間を作り上げている時もあった。ラストにはシューゲイザー寄りの轟音まで手繰り、会場を震え上がらせていたのが印象的。予想以上に引き出しの多いライヴを披露してくれたことには驚きを隠せなかった。今度は屋根付きではなくて、風を浴びられるようなステージで彼等の歌と演奏を堪能したいものだ。
写真:熊沢泉
文:伊藤卓也