2008年のサマソニ出演もねじ込んだ!?というLASTORDERZが、今度はフジの前夜祭にも意気揚々と乗り込んできた。Men’s5のメンバーであるハム(B,Vo)の呼びかけによって結成されたLASTORDERZは,メンバーにラストアンザイを名乗るソラミミストの安齋肇(G,VO)を始め、実力派の女性メンバー、そしてヴォーカルに田口トモロヲを加えた5人組のパンク・バンド。パンクへの憧憬をそのままパッケージした音楽は、いい意味でおバカなニュアンスがたっぷりで、楽しさと共感を呼ぶ。
数々の大物ミュージシャンのサポートを務めているという彼等のテクニックは折り紙つきだが、このバンドではそれをひた隠しにして、わかりやすいぐらいに簡素な演奏でひたすらパンク道を突き詰めている。難しく激しい演奏を見せるわけではないし、あまり疾走することもない。曲間にはしゃべりまくってて、パンクらしくない部分もある。だけど、親父バンド(50歳越えが2名)みたいに演奏者の楽しさや気持ちが聴き手に非常に伝わってくる。音楽を演奏することの喜びがにじみ出ているし、フジロックという舞台で演奏できる喜びも体いっぱい、声いっぱいに表現されている。半世紀を生きた男たちが、「大人パンク」や「パンクがいっぱい」を叫び歌うということは、十二分に音楽への愛が伝わってはきやしませんか。
「ライヴ中に休憩をとる世界にいないパンク・バンドです」とか「ノンストップで行くぜ」、と突っ込みどころ満載のMCも非常に和やかな雰囲気を醸し出していて、大きな笑いがレッドマーキーに咲く結果となった。遅刻でお馴染みとなった? ラストアンザイに向けた曲「安斎遅刻」もコール&レスポンスで大盛り上がり。最後にはビートルズの「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」をカバーしてたら、ブラジャーの歌になったという替え歌「オブラディ・オブラジャー」でブラジャーを回しながら盛り上がり、体力が尽きるまでがんばっていたであろうライヴは終了した。彼ら自身も宣言していたが、おそらくフジロックでブラジャー元気一杯に回したアーティストは初であろう。
写真:佐俣美幸
文:伊藤卓也