フジロック1日目の夜は、贅沢な悩みがある。オールナイトフジまで足を運んでテクノで踊るか、ルーキー・ア・ゴー・ゴーで新人のチェックをするか、クリスタルパレスでロックンロールやR&Bやスカで踊るか……。そしてレッド・マーキーではマッド・プロフェッサーによるズブズブのダブ・ナイトをやっていた。レッド・マーキーはいい感じに空いていた。これも1日目だからだろう。
「コンバンヤー!」と挨拶しする。マッド・プロフェッサーの傍らには、弟子のようなMCを引き連れていた。機材をいじりながら、レゲエやドラムンベースの曲を加工してリヴァーブをかけまくったりディープな重低音をかまし続ける。突如として、ジャクソン5の”I Want You Back”のイントロをかける。当然のように盛り上がるフロア。しかし、イントロをリピートさせたり、いきなりコーラスにしたり、なかなか普通にかけない。イク! と思ったらなかなかイケないこのじらし加減がすごい。もちろんマッドなプロフェッサーなんだから、”I Want You Back”をズタズタに切り刻んでも構わないのである。
しかし深夜にみんな元気に踊りまくり、一旦ステージから下がってもアンコールを求める声が大きい。もともと一回下がる気でいたのか、アンコールなのかはよくわからないけど、再登場した際に、男性ヴォーカリストも登場(BEARDYMAN説あり)して、マッシヴ・アタックの曲を歌った。この時間になってダブで踊っていると、意識が混濁してくるので……
写真:深野輝美
文:イケダノブユキ