晴れ間が見え、暑いと感じる2日目の朝のレッドマーキーにLITEが登場した。3年前のルーキー・ステージを経ての帰還であり出世でもある。当然ながらフジロックのゲートをくぐるための努力は、生半可なものでは足りない。しかし、LITEはそれを乗り越え、この3年の間に欧米・アジア諸国へと何度も赴きながら、日本のみならず世界からも関心を集めるまでになっている。そんな彼等の晴れ舞台を一目見ようと、朝一番にも関わらずレッドマーキーにはたくさんのお客さんが場内には集まっていた。
最新のミニアルバム『Illuminate』に収録されている「Drops」をSEにステージに登場した彼等。出迎えてくれる歓声は3年前と比べても遥かに多い。これにはうるっと来ているファンも多かったのではないだろうか。。そのざわついた場内の雰囲気を一気に切り裂くように伝家の宝刀「EF」を繰り出してライヴはスタート。ギター、ベースのユニゾン・リフから始まるこの曲は、ヒリヒリと生々しい響きを持ったサウンドとなり、会場を混沌とさせていく。ドン・キャバレロのような複雑さもキング・クリムゾンのようなダイナミズムもペレのようなエモさも内包したLITEのインスト。強烈な揺さぶりと壮絶な展開は心身にグッと響いてくる。続いて披露された、ツインギターが美しいメロディを乱れ咲かせる「Human Gift」、変拍子を生かしたリズミックなビートが心地よい「Tomorrow」の2連発も序盤の盛り上がりを支えていた。新作から披露された「Image Game」ではマラカスなどの楽器を使用し、さらにはループ・ミニマル的手法を生かしてじわじわと昂揚感を誘う。空間の描き方がより巧みになったことがこの新曲を聴くとよくわかる。
途中のMCにて「めっちゃ楽しいっす」とやや緊張した面持ちで喜びを語っていたが、彼ら自身も本日の出演を非常に楽しみにしていた様子が伺える。また、ルーキーとは違ったステージからの眺めにとても感激している姿も見受けられた。いつも通りにアグレッシヴな演奏を見せる彼等の佇まいに喜びのオーラみたいなものが感じられたのも新鮮であった。
ライヴ終盤には、シンセサイザーを本格導入して新たな舵を切った「The Sun Shank」を演奏。ソリッドで生々しいサウンドにシンセの輝きが加わることで、快楽的な要素を巧みに抽出。それがゆらゆらと自然に体を動かしてしまうような磁場を作り上げていた。リズミカルに鋭利なビートをたたきつける「Infinite Mirror」に続いて、4人の猛烈なアンサンブルがめくるめくスリリングな音世界へと誘う「Contemporary Disease」の圧倒的なラストにはただただ打ちのめされた。全ての人の想いが託されたかのような大爆発は感動すら誘っていたように思う。全精力を使って駆け抜けた40分のステージは本当に素晴らしく感じられた。その充実も本人たち自身、感じていると思う。それに振り上がる拳の数、耳を劈くような拍手と歓声を感じるとLITEがどれだけ大きくなったかを実感する。次は、野外のステージで!という期待を持ちつつ、これからも今後の活動を追っていきたいものだ。
写真:古川喜隆
文:伊藤卓也