イギリス出身の女性シンガーソングライター、CORINNE BAILEY RAE。カリフォルニア州インディオで開催される音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」にも今年出演し、感動を呼ぶパフォーマンスを披露したことでも話題を呼んでいる。
そんな注目を浴びている存在の彼女だが、08年の間は活動を休止していたとのこと。よきパートナーだった夫が不慮の事故で亡くなり、1年間はテーブルに座ることしかできなかったようだ。それでも1年後にゆっくりと曲づくりを再開し、今年の1月にはセカンド・アルバム『The Sea』を完成させた。
この日はライヴメンバーを5人引き連れて、ホワイト・ステージに出演。夫と大ゲンカした直後に書いたというエピソードを持つ「I’d Do It All Again」や、せせらぎのように穏やかな「Like A Star」など11曲程度を披露。メロディに合わせて手を動かす仕草をとる彼女は、すべてが艶っぽく色気のあるオーラに包まれている。また哀しい表情で歌っていたとしても、楽曲が終わるたびに満面の笑みを。それには聴き手の心と体までも、癒してくれるような力があるようだった。
まったく飾ることのない彼女のステージ。1曲ごとに歌本来の存在価値を、改めて教えてくれたように思う。まだ体感したことがない人も、この優しい歌声に一度は包まれてほしいものだ。
写真:森リョータ
文:松坂愛