THIRD EYE BLIND

Tag:,,

7/31 07:07  Twitterに投稿する


 親しみやすいメロディとポップな曲調、エッジの立ったロック・サウンドで90年代後半にビッグ・ヒットを記録したロックバンドTHIRD EYE BLIND。名曲が数多く詰まった最大のヒット作であるセルフタイトルのデビュー作は聴き倒したという人が多いのではないだろうか。今年5月にはELLEGARDENの細見が率いるthe HIATUSとスプリット・ツアーをしていたことも記憶に新しいところ。胸を熱くし、心に染み込むその音楽は、今聴いてもまるで色あせることなく逞しい輝きを放っているのが、今日のステージでも感じ取れた。

 ベースとドラムのセッションのような形からライヴはスタート。硬質なリズムで徐々に盛り上げつつも、すぐにメンバー全員がそろい、大らかサウンドと伸びやかな歌声でホワイト・ステージを包む。この滋味深く力強いパフォーマンスからライヴならではの躍動感とダイナミズムを感じさせつつも、強みである一緒に歌えるヒット・ソングを軸にして観客の心をつかんでいく。やっぱりこの歌声とメロディは本当に染みるなあ。曲を全く知らない人も自分たちのフィールドに巻き込むようなキャッチーさがあって、自然とこの輪の中に入っていける。苗場という舞台に負けない音の馬力もまた良く、スティーヴンのヴォーカルにしても、男くさいコーラスにしても勇壮に盛り上げてくれる所がよい。アッパーな「Losing A Whole Year」には熱くさせられたし、「Graduate」といった力強さと繊細さを備えた曲もまた、胸を熱くしてくれる。

 その後も新旧の曲を次々と披露。終盤にはお待ちかねのメインディッシュがいよいよお出まし。バンドのアンセムといえる超名曲「Semi-Charmed Life」を、ホワイト・ステージに集まった人々と共に苗場の空に向かって一斉に大合唱。「トゥットゥトゥ、トゥトゥルットゥー」と一緒に歌えるこの一体感、この爽快感、この昂揚感、半端なく気持ちよい。THIRD EYE BLINDのハイライトは間違いなくここだった。歌と風が幸せを運んでくるような、そんな素敵な一時が過ごせた。ヒット・ソングを持つことの強みが感じられ、またそれを盛り上がりにしっかりとつなげるライヴ力も魅力に映った。

 後から知ったことだが、彼等は、天神山で行われた第1回目のフジロックに出演している数少ない今回の出演者だそう(今回の出演者だと他には、デイヴ・グロールやザック・デ・ラ・ロッチャなどが該当)。一時期は活動していない時期もあったが、昨年発売した復活作品のセールスも好調らしく、バンドが再び加速する時がいよいよ来たのかも。こうしてまたフジの舞台に立つ存在感は貴重であった。

写真:中島たくみ
文:伊藤卓也