一昨年のレッドマーキーから一段ステップアップ、リディムサウンター今年はホワイトに登場だ。オーケストラを率いてのステージで、登場のBGMは荘 厳だがメンバーはすでにはじける空気満タン。バンドの核弾頭タイチがいきなり客席をあおりながら配置に付いた。前夜祭にでたキュビズモグラフィコVの チャーベさんをパーカッションに迎えての布陣。この時点で何かすごいことがおきそうな予感がふつふつとわいてくる。
Vo.のケイシが現れ、”Sweet&Still”がスタートすると、オーディエンスはもちろんのこと、なによりメンバーがものすごい勢い で走り始めた。そうとうこの場にいられるのがうれしいらしい。広いホワイトステージを隅から隅までカヴァーするように全員で大暴れだ!担当楽器や持ち場がくるくると変わるのがこのバンドの特徴でもある のだが、今日は本当にめまぐるしい。この人たちはペース配分という言葉を知らんのか?というくらい。ちょっと油断すると決定的瞬間を見逃してしまう!バッ クのオーケストラチームが思わず笑ってしまうほどのやんちゃっぷり。気がつけば、タイチがドラムを飛び出しステージ前方も乗り越えて、お客さんのエリアに まで降りてきてしまった。何度もフジロックでライヴを観ているけれど、お客さんにまみれて歌った人を見たのは初めてだ。さらに「タイチ、交代」の声でケイ シまでも!なんて型破り。でも決して憎めない。「終わるのヤダけど、ラストです!」の声を聞いた時は、こっちも終わってほしくなくて涙が出そうになった。 このかわいくてカッコいいやんちゃ坊主たちをずっと観ていたかった。
ホワイトの上空には怪しい雲が立ちこめはじめていたけれど、ライヴ中に雨は降らなかった。リディムサウンターの勢いが雨雲を押し返したに違いない。
写真:深野輝美
文:輪千希美