2日目も雨が降り、わっくわっく感を疲労感が超える時間帯であることや、気になるアノ曲を観てみたい! ということを考慮しても、ちょっとだけ異様な光景にも見えた。MGMTがバンドとして大きくなっていくスピードを、期待という一見聞こえのいい言葉が一瞬で追い抜かしてしまって、バランスが悪くて、異様に映ったというか。MCや一部のパートでは、ウィスパーヴォイスとなって、煮え切らなさを感じさせられるヴォーカル。いや、悪くはない。これが今のMGMTそのものなんだから。
ただ、笛1本でメロディラインで始め、徐々に楽器を、そしてヴォーカルラインを加えて行くMGMTワールドへの引き込み方や、”Weekend Wars”の後半の、混沌としたあっちの世界へと誘うかのようなインスト部分の音の構築は、色の3原色に加えて、鈍くてMGMTにしか発色することのできないもう1つの色を苗場へ放っているようだった。ざわ〜っと足下から何かが体内に広がる感覚を何度となく覚えさせられた。比較的飄々と、じっくりと静観させるというライヴの流れはMGMTの思惑通りだったとしたら、何たる末恐ろしい子供たちよ。2枚のアルバムの制作には、デイヴ・フリッドマンやソニック・ブームという、幾何学的音楽の異端児も関わっているというのが、水の中に絵の具を1滴落とすと、透明の水と絵の具の色が融合しようと滲んでいくかのように、それぞれの曲から伝わってきた。
2割のカオス、8割の静観ゾーンが一気に熱狂の渦になったのは、”Time To Pretend”。そう、みんなはこの曲を待っていたのだ。ステージでギターの弦から花火に持ちかえて、持ってぐるぐる回し、奥地から戻ってきた人も、いっしょになって隅から隅まで笑顔の輪が広がっていった。まだまだのびしろのあるバンドであることは間違いない。